講演会、会社の上司との交流……箱根駅伝が持つ威光。

北爪   「自分は箱根駅伝で優勝したんだ」って意識することある？ 自分の場合は陸上部が相手だから練習メニューを組んだり、一緒に走っているときにもまだ威光が残ってるなって感じるときもあるけど（笑）。

高野寛基　Hiroki Takano
1988年生まれ。佐久長聖高出身。6区山下りで途中派手に転倒しながらも東洋大を見事逆転、優勝に大きく貢献した。JR東日本勤務。

高野   俺、講演した。

北爪   講演？

高野   うん。しかも、警察署で（笑）。

猪俣   なにそれ？ 何を話すの？

高野   自分でいいのかって思いながらも、警察署長やウチの駅長もいる前で「箱根駅伝の経験は自分にとって……」とか話して。もう何回かやってるから慣れたけど。

北爪   授業より大変そうだ。今年の箱根でゲスト解説にも呼ばれてたし、高野は話がうまいって思われてるんじゃない？

猪俣   自分はかなり上のお方から急に「一緒に走らないか？」って誘われたことあるよ。「5区を走った猪俣」を覚えていてくれて、秘書さん経由で「Aさんが今度一緒に皇居を走りたいって言ってるんだけど。終わったあとちょっと軽くお酒でも飲んでね」って。

高野   出世できるかもよ（笑）。

猪俣   関係ないでしょ（笑）。でも箱根の話題は、会話を始めるきっかけになるしね、初めて会う人にすぐ認知してもらえるかな。「今も走っているんですか？」ってよく聞かれるんだけど、あんまり自信ないから「趣味としてたまに……」って言葉を濁してる（笑）。

オイリーなものを食べているから、走らないと病気になっちゃう。

北爪   よく会社の人と走ったりしてるの？

猪俣   仲のいい先輩と駅伝に出たりすることはあるけど、普段はひとりで走ってる。週末とか、仕事が早く終わった日に、寮の近くにあるショッピングセンターの周りをグルグルしてるよ。走り始めたときは30分ジョグでもきつかったけど、今はたまに1日2回練習してみたり。

北爪   けっこう、走ってるじゃん。

猪俣   オイリーなもの食べてるから、走らないと病気になっちゃう（笑）。高野は？

高野   週3、4回は。長野は伝統的に駅伝が盛んで、市町村対抗とか地域対抗の大会があって、そのメンバーに選ばれてるから。ハーフ65分の人もいて、けっこう大会のレベルが高いからプレッシャーあるんだよね。

北爪   それはきついなー。

高野   だからロード以外にも、近所の坂道だったり、走りやすく整備されてる諏訪湖の周りで練習してる。

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