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松井稼頭央、突然解雇の真相。
開幕の好調ぶりは何故消えたのか? 

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菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

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photograph byAFLO

posted2010/05/30 08:00

松井稼頭央、突然解雇の真相。開幕の好調ぶりは何故消えたのか?<Number Web> photograph by AFLO

移籍先のロッキーズには2006~07年にも所属。'07年に打率2割8分8厘、32盗塁でチームのワールドシリーズ進出に貢献した。「僕に2度目のチャンスを与えてくれて感謝している。できるだけ早くメジャーに上がってチームの勝利に貢献するのが目標です」とコメントした

 5月19日、ロッキーズ戦終了後の記者会見だった。通常ならミルズ監督が真っ先に壇上に立つのだが、最初に姿を見せたのはウェードGMだった。

「試合終了後にカズオ・マツイにチームから解雇する旨を告げた。シーズンのこの時期に選手と解雇について話し合うのは楽なことではない。だが昨シーズン途中と今シーズンの彼のパフォーマンスは、期待するレベルに達していなかった」

 アストロズの松井稼頭央選手がシーズン半ばで解雇された瞬間だった。

 だが、開幕から松井を取材してきた私にとって、驚きはなかった。

 新監督の下、先発出場が限られ、40試合中27試合に出場し打率は.141。一方で松井に代わって二塁手として先発での出場機会が多かったケッピンジャーは、その日の試合でも3安打4打点の活躍をみせ、打率も.283と両者の差は歴然だった。

 翌日の地元紙で解雇を肯定する発言も出るほど、松井の低迷は誰の目から見ても明らかだった。勝負の世界では結果を残せなければ、いつかはチームを去っていく運命なのだ。

 だがその一方で、今回の解雇劇を簡単に割り切れない私がいる。GMの会見後、地元メディアに囲まれた松井は、何か呪縛から解放されたようにすがすがしい表情をしていた。そして取材が終わった後、静かに呟いた一言に凝縮されている。

「自分にとってはむしろ良かったと思う。このままここにいても……ね」

上々の今季スタートをきったかに見えた松井だったが……。

 松井の“見えざる戦い”は、開幕直後から始まっていた。

 昨シーズンはメジャー6年目で最多の132試合に出場。今年はそれ以上の出場を目指し、オフにはコンディショニングを万全に整え、さらに打率.250に終わった打撃を見直すためバットを振り続けた。その甲斐あってオープン戦では.293、2本塁打とまずまずの結果を残し、開幕戦では2安打を放つなど上々のスタートを切ったかに見えた。

 しかし、翌日の試合で突如、先発から外された。監督の説明は「第3戦のデーゲームに備えさせるため」だったが、他の主力選手は当然のように開幕3連戦に先発していた。

 さらに開幕5戦目までの3試合で松井は先発から外れ、地元メディアの質問に応じた監督は「ケッピンジャーのバットが振れているので先発から外せない」との説明だった。この時点では誰もが松井が正二塁手だと考えていたが、監督のこの発言で、明らかに松井が昨年までのような主力選手としての扱いを受けていないことが容易に察知できた。

 結局、その後も監督の起用法は変わらなかった。

【次ページ】 理由もなく正二塁手を外され、監督への不信感が募る。

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