プロ野球亭日乗BACK NUMBER
清武vs.読売の訴訟合戦第2ラウンド。
彼らに真のジャーナリズムはあるか。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byToshiya Kondo
posted2012/05/27 08:01
昨年11月にも外国人記者クラブで会見を開いた清武・前巨人代表。「渡邉会長は初めて(裁判で)負けるかも」と自信をのぞかせていた。
“ミニナベツネ”の清武氏に正義を語る資格はあるか?
巨人担当の新聞記者が清武氏の行なった外国人補強の失敗を指摘した記事を書くと、いきなり携帯電話が鳴ったという。
「こんなことを書くな!」
凄い剣幕で怒鳴り上げられた。
また、巨人の補強やチーム編成の問題、また球界が抱える問題などでも、清武代表(当時)の意に反するような記事が出るたびに、担当部長を球団に呼びつけて威圧的に文句を言い、場合によっては球団、本拠地球場への出入り禁止を乱発する。そうして取材の機会さえ奪ってきたのが当の清武氏だったという事実である。
まさにワンマンとして巨人に君臨し、そこで佐高氏の言う悲しい構図を構築してきた張本人が、この清武氏だったわけだ。
「どの口があんなことを言うんですかね……」
清武氏の会見での発言を聞いていたスポーツ紙の記者がつぶやいた。
あるときは権力者として、その権力を振りかざし反対意見を圧殺してきた。その同じ人間が、今度は社会部の新聞記者魂を振りかざして正義を語れるのか?
ジャーナリズムという皮をかぶった似た者同士の泥仕合――。この騒動の取材をするたびに思うのは、そのことばかりである。