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障害者アルペンスキーで、
快挙を成し遂げた日本勢。
~ソチでの金メダルを目指して~ 

text by

宮崎恵理

宮崎恵理Eri Miyazaki

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photograph byIsao Horikiri

posted2012/04/17 06:01

障害者アルペンスキーで、快挙を成し遂げた日本勢。~ソチでの金メダルを目指して~<Number Web> photograph by Isao Horikiri

世界トップの速さと技術を誇る森井。今季開幕前に亡くなった恩師に捧げる優勝となった。

 日本の障害者アルペンスキーが今季、大躍進を遂げた。

 3月13~16日、ワールドカップ最終戦がカナダで行なわれ、男子座位の森井大輝(富士通)が総合優勝、鈴木猛史(駿河台大)が2位を獲得。座位とは立ってスキーができない選手のカテゴリーのことで、1本のスキーの上に座る部分を取り付けた“チェアスキー”を使用する。日本は'98年の長野パラリンピック以降、座位で数多くのメダルを獲得してきたが、ワールドカップ総合優勝は初の快挙である。

 森井は東京都あきる野市出身で、モーグルの競技経験を持つ。16歳の時にバイク事故で脊髄を損傷。入院中にテレビで見た長野パラリンピックの映像に心を奪われ、チェアスキーを始めた。'06年トリノ・パラリンピックの大回転で銀メダルを獲得。'07年から2年連続でワールドカップ大回転の種目別優勝を果たした。'10年バンクーバー・パラでは滑降で銀メダル、スーパー大回転で銅メダル。そして今季、スーパー大回転で種目別優勝、大回転、スーパー複合で2位に輝き、満を持しての総合優勝を達成したのだ。

世界最速を実現した日本勢躍進の原動力。

 福島県猪苗代町出身の鈴木も幼い頃からスキー経験がある。小学2年の時に交通事故で両脚大腿部を切断。小学3年でチェアスキーを始めた。バンクーバー・パラでは大回転で銅メダルを獲得している。

 日本勢躍進の原動力となったのは、健常者のワールドカップレベルのカービングターン技術を追求してきたことにある。例えば、今季アルペンスキーのワールドカップで総合優勝したマルセル・ヒルシャーらが練習した直後のバーンを使用して、そのライン通りにポールを立てて滑り込んできた。チェアスキーに特化するのではなく、理想的なターン弧とライン取りを体得する練習を積み重ね、世界最速を実現させたのだ。

「以前は板をずらすスキッドターンを併用して滑りを安定させていましたが、バンクーバー以降、よりタイトで縦長のカービングターンを追求することによって確実にタイムが上がってきました。今では、どう滑ればどういうタイムが出るのか明確に把握できています」(森井)

 今後の課題は、あらゆるコースや状況に対応できる、技術の幅の拡大だという。2年後のソチでは、森井も鈴木もまだ手にしていない金メダルを狙っていく。

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