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リーグ改編とDH制の行方。
~ナ・リーグでもDH制導入か?~ 

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芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

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posted2012/03/11 08:00

リーグ改編とDH制の行方。~ナ・リーグでもDH制導入か?~<Number Web> photograph by Getty Images

MLBを代表するDHのオルティス。彼のような選手の働き場所が増える?

ナ・リーグのDH制の採用は時代の趨勢ではあるが……。

 しかし、DH制の両リーグでの採用は、本当に野球を面白くするのだろうか。

 私がつい首をかしげてしまうのは、2011年のワールドシリーズ第6戦を思い出してしまうからだ。カーディナルスとレンジャーズが逆転また逆転のシーソーゲームを演じたあの試合では、DH制は採用されていなかった。トニー・ラルーサとロン・ワシントンの両監督は、機に応じて代打代走を送りつづけただけでなく、ダブルスイッチも頻繁に行ってなんとか勝機を見いだそうとしていた。投手の代打に投手を送るような独特のスリルと、古典的な野球に本来備わっていたこまやかなニュアンスは、DHのいる野球ではけっして得られないものだと思う。

 さあ、果たして球界はどちらの道を選ぶのだろうか。ポストシーズンのシステム変更やインターリーグの導入が観客動員の増加に結びついてきた昨今の趨勢を見ると、DH制がナ・リーグでも採用される可能性はかなり大きいと見るのが妥当だろう。

 ただ、どうしてもDH制の採用を拒みたいのなら、ひとつ秘策がある。ナ・リーグ、ア・リーグともに1球団ずつを増やして1リーグ=16球団の体制に変更してしまうことだ。ただしそのときは、エクスパンションに伴う弊害(野球の質の低下)を覚悟しなければなるまい。どこか1地区だけが6球団体制になるというひずみも避けられないだろう。どうだろうか。私自身は、ナ・リーグを現状のままで残したいという気持を捨てられないのだが。

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