SCORE CARDBACK NUMBER

オービックを連覇に導いた、
NFLに最も近づいた男。
~帰ってきた木下典明~ 

text by

飯山太郎

飯山太郎Taro Iiyama

PROFILE

photograph byMichi Ishijima

posted2012/01/22 08:00

オービックを連覇に導いた、NFLに最も近づいた男。~帰ってきた木下典明~<Number Web> photograph by Michi Ishijima

 最後は一人舞台だった。1月3日に東京ドームで行なわれたアメリカンフットボールの日本選手権、ライスボウルは、社会人代表のオービックが学生代表の関学大を38-28で破り、2連覇を果たした。第4クオーター終盤、19ヤードのパスをキャッチしてだめ押しのTDを挙げたのは、オービックに今季から加入した29歳のWR木下典明。喜びを宙返りで表現し、「スポーツマンらしからぬ行為」として反則を取られたのはご愛嬌だったが、自身にとって立命大時代以来8年ぶりとなる日本一の座については「昨季の日本一チームでプレーした結果です」と殊勝に語った。

 いまだに日本人がプレーしたことのないNFL。木下はそこに「最も近い日本人」と言われた。'02~'04年は主力WRとして立命大の学生王座3連覇に貢献。'05年からNFL挑戦を志し、下部組織のNFLヨーロッパ(NFLE)でプレー。'06、'07年はリターナーとしてオールNFLEに選ばれた。さらに同年、NFLのアトランタ・ファルコンズと日本人として初めてとなるフリーエージェント契約を結ぶ。キャンプで最終ロースターには残れなかったが、'08年には日本人初の国際練習生となり、ファルコンズに1シーズン帯同した。だが、'09年以降、オファーはなく、年齢は20代半ばを過ぎていた。

7季ぶりの大舞台でも要所に勝負強さを見せた木下。

 そして'11年4月、オービック入団という決断を下す。「日本でプレーすると日本人のスピードに目や体が慣れるのが怖い」と避けていた国内の舞台。しかし、「アメフトがしたい」という一心だった。真価を見せたのは12月の社会人選手権決勝、ジャパンXボウル。98ヤードのキックオフリターンやパスキャッチで計3TDをあげた。さらにこの日のライスボウルでは前半劣勢を強いられたものの、最終クオーターに2連続パスキャッチで一気に38ヤードのゲインを見せ、味方の逆転TDへつなげた。

 来季は「またオービックでプレーすると思う」と国内でプレーを続ける考えだ。そして「NFLに挑もうとする日本人に自分の経験を伝える塾みたいなものをやれれば」と語る。しかし、7季ぶりの大舞台でも要所に勝負強さを見せた木下。今年で30歳となるが、選手として対戦相手やファンに、本場仕込みのプレーを見せる仕事は、まだまだ残っているはずだ。

■関連コラム ► NFLの圧倒的集客力。~野球やサッカーとの違いとは?~
► 全米制覇に挑んだ、アメフト界の“なでしこ”。~鈴木弘子、不屈の46歳~

関連キーワード
木下典明
オービックシーガルズ

ページトップ