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全米制覇に挑んだ、
アメフト界の“なでしこ”。
~鈴木弘子、不屈の46歳~ 

text by

渡辺史敏

渡辺史敏Fumitoshi Watanabe

PROFILE

photograph byAkatsuki Uchida

posted2011/08/21 08:00

全米制覇に挑んだ、アメフト界の“なでしこ”。~鈴木弘子、不屈の46歳~<Number Web> photograph by Akatsuki Uchida

プロフットボーラーとしてデビューした2000年、いきなりオールスター戦にも出場したという

 なでしこジャパンのW杯制覇から約2週間、もう1つのフットボールで、アメリカの頂点に挑んだ日本人女性がいた。北米女子プロ・アメリカンフットボールリーグ(IWFL)のカリフォルニア・クェイクに所属する鈴木弘子だ。

 鈴木は、日本でスポーツインストラクターをしていた1995年、30歳の時に「お稽古事感覚で」アメフトを始めてからのめり込み、より高いレベルを目指して’00年に単身渡米。以降12年間に渡り活躍してきた。IWFLは、WFAと並びアメリカに2つある女子トップリーグのうちの一つ。しかし、プロとはいえ薄給で、飛行機での遠征ではチケット代を選手が負担しなければならないほどだという。それでも鈴木は、「苦労を感じたことはないです。アメフトのことだけを考えていればいいので本当に毎日が楽しい」と笑う。

 そんな鈴木は3年前、その実力から請われてクェイクに加入。10代の選手も多いなか、チーム最年長のラインとして、当初2年計画での優勝を掲げたヘッドコーチとともにチームを引っ張ってきた。今回3年目でその努力が実り、優勝決定戦へ進出したのである。

現在46歳だが、「少なくとも来年はやります」と断言。

 決戦は7月30日、テキサス州ラウンドロックで行なわれた。相手はともにここまで全勝のアトランタ・レイヴンズ。試合は、前半レイヴンズが先制したが、後半になってもつれた。一時は10点差をつけられたクェイクが終盤に猛然と追い上げ、2点差まで迫る。しかし、結局22対24の僅差で涙を呑んだ。

 鈴木は当初守備で出場していたものの、後半は作戦変更で攻撃でも出場を強いられた。攻守両面での出場は、男子でもほとんど行なわれないタフな行為である。しかも試合開始直後に右足首を捻挫しながらプレーを続行したのだ。それでも最後まで他の選手に劣らないパフォーマンスを発揮し続けたのは、感嘆に値する。

 あと一歩で届かなかった初優勝。鈴木は「勝てる、という感じがずっとあって、それだけにショックは大きかったです」と悔しさをにじませた。

 現在46歳の鈴木だが、引退は考えていないという。「勝つまでとは言いませんが、少なくとも来年はやります」と断言した。本場の地で、トップを目指す鈴木の道のりは続く。

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