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面白みのない着地点で幕を閉じた
“岡田解任論”。
~W杯への戦略はどうなった?~ 

text by

浅田真樹

浅田真樹Masaki Asada

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photograph byToshiya Kondo

posted2010/03/25 06:00

面白みのない着地点で幕を閉じた“岡田解任論”。~W杯への戦略はどうなった?~<Number Web> photograph by Toshiya Kondo

途中で中盤の足が止まり連係の乱れやクロスの精度の低さが目立つなど日本の課題は残る

 岡田不支持が圧倒的――。東アジア選手権後、新聞、テレビは揃って、世間の声をそう伝えた。本場のヨーロッパや南米に比べれば、手ぬるい追及だったかもしれないが、日本でこれほど代表監督の解任要求が表立つことは珍しく、これはちょっとした事件だった。

 ところが、である。そんな熱も、先日のバーレーン戦で驚くほどあっさりと冷めてしまった。確かに、東アジア選手権と比べれば、試合内容はよくなった。しかし、選手の能力の総和で上回る相手であれば、奇をてらった戦術など採らずとも、このくらいの試合はできる。そんなことは分かっていたはずだ。

 実際、およそ1年前のオーストラリア戦を前に、岡田武史自身が言っている。「こういう相手に勝つためにやってきた」。ショートパス偏重の攻撃は、今までのように引いて守る格下相手には有効ではなかったかもしれないが、まあ見ていてくれ。そんな宣言に聞こえた。

 しかし実態は、組み立ての段階でやたらと人数をかけて、パスをつなぐばかり。ゴール前の人数は少なく、決定機には至らないという現象に陥った。

現実路線に軌道修正したが、W杯への戦略は不透明のまま。

 その後、問題を解決すべく、アーリークロスだ、ニアゾーンだと、それらしい掛け声は聞こえてきたが、成果はご存じの通りである。果たして、東アジア選手権を最後に、舵は極めて常識的な針路へと切られた。

 これまでの奇妙奇天烈な攻撃から一転、バーレーン戦での日本代表は、世界の常識の範囲内でボールを動かした。中央でのショートパスは減り、ボールは横に広く動かされた。中村俊輔、松井大輔はサイドに開いてボールを受けた。

 正直、机上の空論を頼りに進み続けるよりは、現実的かつ賢明な選択ではあったと思う。ただ、その一方で、当たり前すぎる着地点に失望もある。せめて岡田が、「あれは本田圭佑を生かすための“本田システム”なのだ」とでも言ってくれたら、おもしろかったのだが。

 解任要求は勢いを失い、だからといって、批判を封じ込めるだけの材料が示されたわけでもない。バーレーン戦は、あらゆる問題をうやむやにしただけだ。

 日本らしからぬ盛り上がりを見せた解任騒動は、しかし、実に日本的な灰色決着で幕を閉じてしまった。

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