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恩返しの金メダルを狙う、
パラリンピック期待の星。
~男子座位・森井大輝の挑戦~ 

text by

宮崎恵理

宮崎恵理Eri Miyazaki

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photograph byIsao Horikiri

posted2010/03/10 06:00

恩返しの金メダルを狙う、パラリンピック期待の星。~男子座位・森井大輝の挑戦~<Number Web> photograph by Isao Horikiri

1月のW杯スーパー大回転では難コースに転倒が相次ぐ中、安定感抜群の滑りで見事優勝

 3月12日、バンクーバー・パラリンピックが開幕する。5競技全てに日本代表は出場するが、今大会最大の見どころは、アルペンスキーである。スキー競技では4年前のトリノ大会から、立位・座位・視覚障害の3カテゴリー制が導入され、ソルトレイク大会までのクラス分けによる表彰に比べてメダルの総数は減少した。しかしアルペンスキーの日本のメダル数は、ソルトレイク大会の銅2個から、トリノ大会では金1、銀4、銅1の全6個と増加。今大会はトリノを上回る 10個のメダル獲得を目指すという。

'08年、'09年W杯2連覇の勢いそのままに頂点を目指す。

 中でも、もっとも活躍が期待される選手が、男子座位の森井大輝(富士通)だ。初出場したソルトレイク大会では、回転6位、大回転8位。当時は、滑りがヒットすれば爆発的なスピードを見せたものの、失敗も多かった。博打的な滑りを改善して臨んだトリノ大会では、大回転で銀メダルを獲得。その後は安定した力を発揮し'08年、'09年と2年連続してW杯大回転での種目別年間優勝を飾っている。

 森井は16歳の時、原付バイク乗車中の交通事故で脊髄を損傷。入院中にテレビで見た長野パラリンピックのアルペン競技に魅せられ、チェアスキーを始めたという。小学5年から本格的にモーグルスキーに取り組んでいたため、スキー技術はもともと高かった。

恩返しのために「複数の金メダルを狙います」と意気軒昂。

 森井を世界トップクラスの選手に押し上げてきたのは、在住する東京都あきる野市のサポーターたちだ。トリノを目指す過程から、ウェイト、ランそれぞれの専門トレーナーと管理栄養士が無償でタッグを組み、森井をサポートしてきた。トリノ大会直後、貯金を使い果たし、競技が続けられないほど困窮していた森井に、現在の所属先である富士通マイクロエレクトロニクスへの就職を奨めてくれたのも、あきる野市職員だった。

「いちばん苦しい時に助けてくれた人たちにお返しできるのは、結果だけ」

 バンクーバー本番では、新種目のスーパー複合を含む全5種目にエントリーしている。森井のW杯ランキングは2月20日現在、スーパー大回転1位、大回転2位、総合2位。目標を聞くと、力強くこう語った。

「大回転だけは誰にも譲れない。それにスーパー大回転やスーパー複合でも勝機はある。複数の金メダルを狙います」

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