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外国人ばかりのリーグ──でも、面白さは増すばかり。 

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安藤正純

安藤正純Masazumi Ando

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photograph byGetty Images/AFLO

posted2007/06/12 00:00

外国人ばかりのリーグ──でも、面白さは増すばかり。<Number Web> photograph by Getty Images/AFLO

 いまさら驚くことでもないが、ブンデスリーガでは外国人の存在感がますます重みを増している。どのチームのメンバー表を見ても苗字の末尾に東欧系を表わす「ッチ」や「スク」が付くのは当たり前。気が付けば先発11人のうち、両親がドイツ人という“純粋系”は圧倒的に少数派となってしまった。

 優勝したVfBシュツットガルトを例にとると、最終戦の出場メンバー14人中、10人が外国人だった。2位のシャルケも同数である。しかしこの数字は正確な実態を表していない。シュツットガルトのゴメス、タスチ、ヒルバート、ケディラ、そしてシャルケのクラーニィとアザモアらの国籍はたしかにドイツだが、両親が移民か、ドイツ人の親が外国人と結婚して生まれたハーフ(ゴメス、クラーニィ)なのだ。

 得点ランキングを見れば上位15人中、ドイツ人選手はたったの2人。上位25人に範囲を広げ、スペイン系のゴメス、ポーランド系のクローゼ、パナマ系のクラーニィを含んでもやっと5人という具合である。

 外国人を多く雇うことで生まれる問題点はだいたい答が決まっている。すなわち、国内の若手が育たない、代表チームが弱体化する、外国人に職場を奪われる、チームの人気が衰える、といったところである。しかし現状はどうか?

 クリンスマン前代表監督は無名の新人を次から次へと発掘し、強豪チームへと大復活させた。後を継いだレフ監督のチームも快進撃を続けている。肉体の強さとコンディションの良さに頼っていたドイツサッカーだが、クリンスマン後から明らかにプレースタイルが変化してきている。小技を使い、戦術に長け、ヴィッツ(機知)に富んだプレーが見られるのは外国人による影響だ。

 スタジアムに足を運ぶファンの数は前季より1試合平均819人減少した。それでもまだ4万人に44人及ばない高水準をキープしている。ちなみにこれは世界一の観客動員数である。稲本潤一がフランクフルト入りを決めたキッカケはこの「つねに満員のスタジアム」だったという。ということで、ファンはいくら外国人が多くても関係なくチームを応援するということなのだ。

 だからメディアがもしも、「外国人が多すぎるのは問題だ」と報道しても、誰にとって何のデメリットがあるのかで理屈が合わなくなる。第一、外国人は皆がワールドクラスでも代表メンバーでもない。そんな低次元での争いでレギュラーを取れない国内選手の能力不足こそ、指弾しなければならないはずだ。

 今季、もっとも魅力的なプレーを披露した選手を拾っていけば、ブレーメンのジエゴ(ブラジル)、ハンブルクのファン・デル・ファールト(オランダ)、ボーフムの得点王ゲカス(ギリシャ)、マインツのジダン(エジプト)、そしてゴメスといった顔ぶれになる。ドイツ人で卓越していたのはフリングス(ブレーメン)とGKノイヤー(シャルケ)くらいだ。実際、専門誌による週間ベストイレブンで彼ら外国人は毎週のように選ばれていた。ジエゴにいたっては「34回」、つまりパーフェクトを達成したほどだ。

 外国人がリーグをつまらなくさせているといった議論はそういうわけで的外れだ。むしろ、彼らの活躍が目立てば目立つほどリーグの内容は面白くなっていくし、ドイツの若手が刺激を受けて成長していくということなのだ。

 ノイヤー、バイエルンのラーム、ボルシアMGのヤンセン(今季よりバイエルン)は、たくさんの外国人と同じ土俵で厳しい競争を勝ち抜いてきたからこそ、現在のポジションを獲得できた。同国人だけのチームにいたら、結局はぬるま湯に浸かるだけで、内輪の世界に留まっていただろう。

 外国人主力選手に頼るのは、イタリア、イングランド、スペインではお馴染みである。ドイツも同じと言えば同じだが、クラブの財政規模により移籍金の上限が決められているので、青天井で取引ができない。それゆえ、口の悪い関係者は「ドイツ人はケチだから、超一流の人材が集まらない」と言う。しかし、堅実な経営と南欧のような人種差別がない環境が続く限り、ブンデスリーガのアドバンテージは大きいものがある。これはあと数年したら分かってくる。状況はドイツに有利なのだ。

 来季、バイエルンにはフランスからリベリーが加わる。移籍金はブンデス史上最高の40億円だ。「(仲の悪い)マガートが監督だったら、俺は絶対に移籍しないぞ」と抵抗していたゼ・ロベルトもマガートが更迭された結果、2年ぶりに復帰する。そして18億円でサインしたルカ・トニがイタリアから加わる。ゾクゾクするチームへと変身するバイエルンは、私のイチオシだ。

 外国人というキーワード1つで、サッカーの現状分析と未来が占えるのもブンデスリーガの魅力。多すぎる外国人を嫌う理由は1つもない。やっぱりこのリーグは面白いのである。

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