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'06-'07CLベストイレブン(前半) 

text by

杉山茂樹

杉山茂樹Shigeki Sugiyama

PROFILE

photograph byKazuhito Yamada/KAZ Photography

posted2007/06/11 00:00

'06-'07CLベストイレブン(前半)<Number Web> photograph by Kazuhito Yamada/KAZ Photography

 今回は題して「僕が選ぶCLベスト11」の第1回。活躍選手を通して'06−'07シーズンを、2回にわたって振り返ってみたい。

 GK=ファンデルサール(マンチェスター・ユナイテッド)も、ベテランらしい味を発揮した。怪我にもめげずヘッドギアを付けて復帰したチェフ(チェルシー)も、昨季に続き、超一流であることを証明した。ジュリオ・セザール(インテル)、ジダ(ミラン)のブラジル代表コンビも存在感を見せつけた。ただ、僕的には、同じブラジル人ならエウトン(FCポルト)やゴメス(PSV)の方がお気に入りだ。なにより、ミラノ勢より守備範囲が広い気がするからだ。

 しかし、ベスト11に推す選手は別になる。リバプールのレイナだ。思い出すのは準決勝(対チェルシー)のPK戦。右隅に飛んだロッベンの左足弾を、ストップした読みと反応は、とりわけ印象に残る。このGKの魅力は、むろんそれのみに止まらない。いわゆる総合力が高いのだ。GKセンスというより、サッカーセンスそのものに優れている。ここまでフィールド選手と一体になってプレイできるGKも珍しい。次なるプレイが、停滞感なく、実に円滑に流れていくのだ。身体の大きなGKに対して、ともすると抱きがちな鈍臭さが一切ない。それがレイナだ。

 DF=最もポイントが高いプレイは、準決勝対リバプールの第1戦で、リカルド・カルバーリョ(チェルシー)が、前線を流れるドログバに出した縦パスだ。ボールを奪うや、縦に2,3歩鋭くドリブルをした積極性溢れる間合いが、なにより秀逸だった。並みのCBなら、瞬間、その場に停滞しようとする。安全第一のメンタリティが、果敢さを押さえ込むものだ。ボールを止め、ラフなロングボールを前線に送ろうとする。だが、カルバーリョは、インサイドキック気味のフォームから、糸を引くようなグラウンダーのパスを、ビシッと決めた。そして、受け手であるドログバの能力を、最大限に導き出すことに成功した。チェルシーの先制点は、ドログバがマーカーのアッガーに競り勝ち、中央に折り返したボールをJ・コールがプッシュして生まれたが、この際、讃えるべきは、まずカルバーリョになる。考えられる中で最高のプレイを選択、実行したCBに、1票を投じたい。

 その時、ドログバをマークしていた22歳のデンマーク代表選手も、センス溢れるCBだ。新人王の有力候補でもあるが、アッガーには、この時、ドログバにやられてしまった事実が汚点として残るので、ベスト11からは外すことにする。

 では、もう一人のCBは誰になるのか。リバプールに準々決勝で完敗したPSVのブラジル代表選手を選出したい。サントスからやってきたアレックス・ロドリゴは、しかし、その大一番には出場していない。敗戦は、怪我で戦列を離れている間の出来事だった。もしアレックスが出場していれば、と思うのは、僕だけではないはずだ。実際、決勝トーナメント1回戦、対アーセナル戦は、彼で勝ったような試合だった。後半押し詰まった時間帯に、アーセナルを奈落の底に突き落とす決勝ゴールを、鮮やかに叩き込んだのだ。やや太めの体型にもかかわらず、強烈なジャンプ力の持ち主だ。なぜか身体はふわりと浮く。重そうな身体は、その瞬間、とても軽そうに見えるから不思議である。似た選手を見つけることは難しい。ソフトなのかハードなのか。懐の深い選手に見えて仕方がない。

 右サイドバックは、ポルトガル代表のミゲル(バレンシア)を推したい。守って良し、攻めて良し。何よりバランスが良い。パワーもあればスピードもある。ライン際を再三駆け上がる持久力もあれば、ゴールに迫るパンチ力もある。リスボン生まれながら、ブラジル人の血を受け継ぐような野性的な魅力もある。サイドアタックを重視するバレンシアには、欠かすことのできない近代的なサイドバックだ。

 しかし、CLを離れてスペインリーグという枠組みで考えると、ミゲルは2番手にせざるを得ない。スポットはまず、セビージャのダニエル・アウベスに向けられる。つまり、彼こそが欧州ナンバーワンの右サイドバックというわけだ。セビージャが来季、CLに出場する可能性は濃厚なので、まだそのブラジル代表の存在を知らない人は、気にしておくべきだろう。来季のベスト11入りは決まったも同然か?

 左のサイドバックは、やや人材難だ。A・コール(チェルシー)といいたいところだが、僕にはアーセナル時代の方が、遥かによく見えてしまう。前に出る果敢さは、一時期より確実に失われている。エインセ(マンU)、ロベルト・カルロス(レアル・マドリー)も悪くはないが、今ひとつインパクトに欠ける。クリッシー(アーセナル)、ヤンクロフスキー(ミラン)も同様だ。ならば、北欧のロベルト・カルロスこと、リーセ(リバプール)の方が印象度は強い。ずんぐりむっくりの体型から繰り出す、パンチの効いたキックに、一票を投じることにしたい。

(MF以降は次回に続く)

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