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NBAスカウトが語る「NBAでプレーする条件」 

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小尾慶一

小尾慶一Keiichi Obi

PROFILE

posted2006/05/08 00:00

──日本人で可能性があるのは、スピードのあるポイントガード(PG)ですか?

 いや、現時点で最もチャンスがあるのは、SG(シューティングガード)だと思う。PGは本当に、本当に競争が激しい。アメリカ人の中でも、優れたPGがたくさんいるからね。でも、シューティングはテクニック的な要素が大きい。何時間もかけて、努力して、磨いていける。必要なのは、継続と勤勉さ。そこが、日本人に向いていると思う点だ。世界のベストシューターが日本人であってもおかしくないし、そうあるべきだが、東芝の北やトヨタの折茂を上回るSGはなかなか現れないね。

──トヨタの桜井やOSGの川村といった若手も伸びていますが?

 もしかしたら、桜井と川村がそういう存在になれるのかもしれない。だとしても、まだ「ひょっとしたら」という段階だと思う。また、日本のSGには身長の問題もある。NBAでプレーするには、明らかにサイズが足りない。コーチは、チームのことではなく、選手の将来のことを考えるべきじゃないかな。私がコーチを務めるUSBA(アメリカ・バスケットボール・アカデミー)には、16歳で208センチの中国人選手がいる。試合ではセンターだが、練習では、自分の意志で、NBAで必要なポジションをこなしている。日本では、そうしたことを考えはじめるのは大学卒業後だ。その意味で、中国に比べて4年間遅れている。でも、そのうち、198センチの選手が「チームではセンターだけど、SGをやりたい」と言うようになるかもしれない。協会は、そうした選手をサポートしてあげてほしい。

──8月に、日本で初めて世界選手権が開催されます。スカウトにとって、この大会はどの程度重要なのでしょうか。

 私個人としては、欧州や各国のスター選手を見る、非常に良い機会だと思っている。

──キャブスは、スカウトを何人送り込む予定ですか。

 はっきりとは言えないが、私を含めて4、5人といったところだろう。うちのチームは、レブロン・ジェームズが代表チームに入っているから、関係者の数は増えるかもしれない。

──目的地は、アメリカ代表がプレーする札幌ですか?

 いや、グループラウンドは見ない。さいたまの決勝ラウンドに行く。もちろん、これは今のところの予定だよ。たとえば、レイカーズは札幌にも行くという話だ。

──日本代表がプレーする広島は?

 私が知る限り、スカウトは行かないはず。開催地が分散されているのが問題なんだ。全ての地域を回るのは難しい。一箇所に集中せざるを得ない。すべてのゲームがひとつの地域で行なわれるなら、全試合見られたはずだ。レイカーズのような資金豊富なチームはともかく、あまりにも負担が大きすぎる。

──では、日本代表を見てもらうには、決勝ラウンドまで進む必要があるわけですね。

 いや、NBAには30チームもあるから、どこかは行くかもしれない。広島では、スペインとドイツもプレーする。ドラフト指名されそうな選手が代表チームに入れば、見に行く者は増えるはずだ。

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