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窮地のニックスが頼る、ドタバタの「再建策」。 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

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posted2006/04/20 00:00

 「イン・ア・ニューヨーク・ミニット」(ニューヨークの1分間=あっという間の意)という表現がある。忙しない大都会のニューヨークでは、時間の流れは速い。

 同じNBAにあっても、チームによって時間の流れの速さは違う。たとえばユタ・ジャズやミネソタ・ティンバーウルヴスのようなチームでは時間の流れはゆっくりしており、変化も緩やかだ。ジャズは今どき珍しく17年間同じヘッドコーチだし、期待はずれの成績が続いても、Tウルヴスにはエース、ケビン・ガーネットを放出して一からチームを作り直すという選択肢は存在しない。噂は何度も出ているが、オーナーはトレードしないと断言し、その言葉を守ってきた。

 これがニューヨークだったら、そうはいかない。少しでも負けが続けばコーチのクビは飛ぶし、たとえエースでもトレードに出される。実際、2000年に長年チームの大黒柱だったパトリック・ユーイングをトレードで出したニックスは、それから6年の間にコーチが5回交代し、選手ロスターも数え切れないほど変えた。2年前に獲得したときにはチームの救世主のような扱いだったステフォン・マーブリーも、今季からヘッドコーチに就任したラリー・ブラウンの構想にあわず、引き受け手さえあればいつでもトレードに出されそうな雰囲気だ。

 この街では、復調までに時間がかかりそうな「再建」という言葉はタブー視されているが、実際には今のニックスが再建期の真っ最中であることは明白だ。トレードによる選手の入れ替えに加え、怪我が重なったこともあり、試行錯誤した末の今季先発ラインナップは4月2日までの72試合でなんと41パターンを数えた。これはNBA記録タイ(記録は'70―'71年以降)。シーズン終了まで10試合残っているのでNBA新記録達成も十分にありえる。そしてその混乱の結果、成績は19勝53敗でリーグ最下位を低迷している。

 それでも観客動員数もテレビ視聴率も、そう落ち込んではいないという。感情むき出しで変化に富んだドラマはニューヨーカー好みだったのだろうか。とすると、どういう方向にせよ変化し続けることがこのチームにとっては生き延びる道なのかもしれない。まるで、泳ぎ続けないと呼吸困難で死んでしまう鮫のように。

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