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F1への登竜門 GP2を見る楽しみ。 

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西山平夫

西山平夫Hirao Nishiyama

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photograph byMamoru Atsuta(CHRONO GRAPHICS)

posted2007/05/29 00:00

F1への登竜門 GP2を見る楽しみ。<Number Web> photograph by Mamoru Atsuta(CHRONO GRAPHICS)

 いまF1前座レースのGP2が面白い。とりわけ今年は日本の中嶋一貴、平手晃平、山本左近の若手日本人3選手が出場していて日本のファンにも身近な存在であり、F1登龍門と位置づけられるだけに、玉石混交の中から未来の逸材を探す楽しみもある。

 GP2シリーズが始まったのは2005年。それまでF1前座として行われていた国際F3000シリーズのシャシー、エンジン、タイヤ、レギュレーションなどを全面リニューアルして発足した。国際F3000から巣立ったF1ドライバーにO・パニス、J−P・モントーヤ、F・アロンソ、M・ウエーバーらがおり、以前からこのカテゴリーのF1関係者の注目は高かった。

 マシンはシャシーがダッラーラ製(ドライバー含み680kg)、エンジンはルノー製4リッターV8(1万回転制限/約600馬力)、タイヤはブリヂストン製スリックという成り立ちで、車重600kgで700数十馬力を発するF1に較べるとかなり“鈍重”であり、重量配分も後ろ寄りのためいったんリヤが滑り始めるとスピンしやすく、ていねいなドライビングを心がけないとすぐにリヤタイヤが磨り減ってグリップを失ってしまう。

 要はマシンの性格を意識的に扱いにくい成り立ちとしてあるわけで、F1マシンがランニングシューズだとしたら、こちらは通勤用のタウンシューズで走っているようなもの。

 その走りにくさを制し、ライバルに打ち勝ってチャンピオンになったからこそ初代王者のN・ロズベルグ、2代目王者のL・ハミルトンがF1に来て通用しているのだ。また、チャンピオンにこそなれなかったもののH・コバライネン(2005年2位)、S・スピード(同3位)もF1レギュラーの座を射止め、N・ピケ(2006年2位)はルノーの秘蔵児となっている。

 日本人ドライバーではこれまでただひとり吉本大樹が2005年から2年間挑戦し、2回表彰台に登ったが、2007年からはフォーミュラ・ニッポンに移っている。

 GP2はヨーロッパ大陸で開催されるF1の前座として組まれ、今季はこれまでバーレーンとスペインの2大会4レースが行われた。ルールはユニークで、土曜日に行われる第1レース(180km)は1回ピットストップ2本タイヤ交換義務付け、日曜日午前中に組まれる第2レース(120km)はピットストップの必要はないが、スターティング・ポジションが第1レースの1〜8位を逆転した“リバース・グリッド”となり、必然的に第1レース中団の8位争いが熾烈になる寸法。

 今年の日本人3選手だが、苦戦が続いている。なかではウイリアムズ・トヨタのテスト・ドライバーを務める中嶋一貴が健闘しており、バーレーンの第1レースで最速ラップの1点、第2レースで6位入賞を果たし、また1点追加。スペインの第1レースでも最速ラップを記録して1点加算したが、上位フィニッシュするには壁が厚く、平手、山本もスピンや接触に巻き込まれたり、チームの戦略ミスなどでまともなレースができていない。

 平手など、スペインの第1レースでチームがピットストップのタイミングを誤らなければ、確実に何点か取っていたはずである。

 日本人ドライバーにとって大事なのはまずは予選トップ10圏内につけ、スムーズなスタートでポジションを落とさずオープニングラップを帰って来る事。ポイント奪取はそこから始まる。

 GP2シリーズは今年11イベントが組まれており26日は第3戦のモナコ。このモナコだけは特別で1レースしか行われない。スピン即クラッシュとなるこの公道コースの一発勝負で、日本人3人がいかなる戦いを見せるか。しぶとい走りに期待したい。

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