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別府史之がプロツアー日本人初の2位入賞。 

text by

森高多美子

森高多美子Tamiko Moritaka

PROFILE

posted2007/05/31 00:00

 初の快挙である。ロードレースにおける最高峰、プロツアーに日本人として唯一登録している別府史之(ディスカバリーチャンネル)が、5月1日からスイスで行われた6日間のステージレース、ツール・ド・ロマンディの第3ステージで2位となり、日本にはじめてプロツアーポイントをもたらした。これにより、日本は世界選手権の出場枠を無条件でひとつ確保し、別府自身は三大レースへの出場を一段と引き寄せた。

 別府は'83年茅ヶ崎市に生れ、高校卒業と同時にフランスに渡る。3年のアマチュア時代を経て、当時ツール・ド・フランス6連覇中のランス・アームストロングを擁するディスカバリーチャンネルにスカウトされ'05年プロになった。'06年には全日本選手権でも圧勝し、文字通り日本ロード界の第一人者である。

 ツール・ド・ロマンディはプロツアーと呼ばれる27あるレースのひとつで、直後に開かれる、ツール・ド・フランスなどと並ぶ世界三大レースのひとつジロ・デ・イタリアの前哨戦と位置づけられている。激戦で知られるこの大会でのステージ2位はまさに快挙だ。

 プロデビューから丸2年、別府の役割はもっぱらアシストだった。エースのために風除けになり、水を運んでは脱落する毎日の繰り返しはけっして楽しくはなかっただろう。直前に行われたレースでも、大ケガを負った上に最後はエースのために自分の機材を提供してリタイアに追い込まれている。

 レース当日もひどい体調だったが、逆境はこれまでもしばしば別府にとって大きな動機付けになってきた。

 「クサっていても仕方ない。とりあえず一歩踏み出さないと何も変わらない。攻めていかなきゃ何もつかめない」

 そんな気持ちで臨んだこの日、スタート直後にアタックすると、追ってきたふたりの選手とともに約150kmを逃げ切って、最後は1位と同タイムの2位でゴールした。

 「いきなり1位になるよりもいまは2位でよかったのかもしれない。次は1位っていう方が、もっとがんばろうっていう気持ちになれるから」

 「勝てたかも」という自信と「勝てたのに」という悔しさが、いままた別府を次のレースへと駆り立てている。

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