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今野泰幸 静かなる激情家。 

text by

小宮良之

小宮良之Yoshiyuki Komiya

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posted2007/02/08 23:05

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[核心インタビュー]今野泰幸 静かなる激情家。

小宮良之=文

text by Yoshiyuki Komiya

 2010年W杯で日本代表のボランチを務めるのは誰なのか。最も有力な候補の一人が、今野泰幸である。

 '03年世界ユースでは主力としてベスト8進出に貢献し、'04年アテネ五輪では飛び級でメンバー入り。'05年8月には東アジア選手権でフル代表デビューを果たした。その後はケガが祟りドイツW杯メンバーから落選したが、大会後に代表監督に就任したイビチャ・オシムにそのセンスを評価され、新代表発足メンバーに選ばれている。

 特筆すべきは、守備での絶妙な間合いにある。じっくりと敵ボール保持者との距離を詰め、するりとボールを奪い取る。一方でゴールに対する欲求も強い。好機につながるフィードと鋭い中距離弾。所属するFC東京では過去2シーズン、計12得点を記録している。攻守両面での貢献が求められるボランチというポジションに、彼はまさに適していると言える。

 しかし、オシムジャパンで今野は“意外なポジション”を務めている。左ひざの負傷でしばらく戦列から離れ、10月のガーナ戦で復帰、インド戦、サウジアラビア戦と先発フル出場を果たしたものの、年内最後の3試合で与えられたポジションは、人材不足に苦しむストッパーだった。欠場している間に、代表のボランチの座は浦和レッズの鈴木啓太に固定されていたのである。

 「やるからには、世界最高のボランチになりたい」。常々そう語っていた男は、自らの現状をどのように感じているのだろうか。

──日本代表で、ボランチではなくストッパーとして起用されていることについて、どう思いますか。

 「正直言って、何で俺をストッパーで使うのか分からないんです(笑)。オシムさんからはなにも説明はないっすね。練習の段階からストッパーだったんで……。でも、問題はないっすよ。代表のストッパーはマンマークなんで、相手FWに仕事を自由にやらせないように、と心がけています。ボランチとはまるで違うので、意識を変えないといけませんが、試合中にポジションが変わっても頭の切り替えはできますから」

──ボランチとストッパーを兼任するのは難しい。例えばボランチの位置でファウルをしても決定的ピンチにはなりませんが、ストッパーで同じことをすれば窮地に追い込まれることがある。実際昨年11月のサウジ戦では、ペナルティエリア内でファウルをしてPKを与えてしまいました。

 「みんながどう思っているかは分からないけど、しっかり対応したつもりだったし、あれはファウルじゃないといまでも思っています。自分は、ファウルしないというのがポリシーとしてあるんです。実際、去年のシーズンも(Jリーグでは)ずっとイエローはもらっていませんでした。(31節の磐田戦に)一度もらったら“もういいや”と気持ちが切れて、結局3枚になりましたけど(苦笑)。でも、自分には自分の間合いがあって、ペナルティエリア内でファウルなんて絶対しないと思ってやってますから」

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