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完封勝利を演出した
思わぬ新球場効果。
――マツダスタジアムと投手心理。 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

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photograph byHideki Sugiyama

posted2009/05/11 06:00

完封勝利を演出した思わぬ新球場効果。――マツダスタジアムと投手心理。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

 昨年、セ・リーグで与四球が一番多かったチームは広島で443個。リーグ最少の中日の336個と比べると、1試合につき1個近く多い計算になる。

 この状況を楽天投手コーチの佐藤義則は、かつてこう評していた。

「広島市民球場は狭いから、ピッチャーはホームランを打たれないように、コントロールを気にしすぎる。ピッチングから大胆さがなくなるせいで、ますます四球が増えて、しかも長打を打たれる、という悪循環が続くかもしれないね」

 ところが、今シーズンから広島の本拠地となるマツダスタジアムは、広島市民球場に比べてレフトで9.6m、センターで6m、ライトで8.6mも広くなった。

 球場が少し広くなるだけで、安心するのが投手心理というもの。これだけ球場が大きくなると、投手陣の気持ちも随分変わるものである。

ピッチャーの意識を変える新球場。

 沖縄の春季キャンプで前田健太は「新球場は広いので、大胆に投げ込めると思う」と初登板を楽しみにしていた。その言葉通り4月11日のマツダスタジアムで行われた中日戦に登板し、新球場1勝目を無四球完封勝利で飾っている。

 前田健が新球場を楽しみにしているのを見て、'99年に西武ドームが完成した時のことを思い出した。監督を務めていた東尾修は、山田久志に「椅子の下から温風がでるんだぞ」と自慢していた。ダイエーが平和台球場から福岡ドームに移ったとき杉本正(現・横浜コーチ)が西武の渡辺久信に「屋根が開くんだぞ。しかも広い球場だから、少しぐらい甘いボールでもフェンスを越えない」と話していたことも思い出される。

広島は新スタジアムで変われるか?

 前田健もまたPL学園の先輩・中日の立浪和義に挨拶をしながら、篠田純平は大学時代からの友人で中日の野本圭と話をしながら「すごくかっこいいでしょ」と試合前に新球場の話をしていた。4月12日には前日の前田健に続き、篠田も無四球完封勝利を挙げたのである。

 普段から仲のいい前田、篠田の2日連続完封は、思わぬ新球場効果だろう。しかし広いとはいえない神宮球場でのヤクルト戦では、2人とも敗戦を喫している。

「狭い球場は投げにくいね」とふたりは話していたが、マツダスタジアムは果たして追い風となるか。新球場一年目の広島に注目である。

■関連リンク► 栗原健太 「山形、広島、突然アメリカ」/WBC後の選手たちを追う! (2009年6月27日)
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