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「決める」オーラ放つ横浜FMの山瀬功治。 

text by

浅田真樹

浅田真樹Masaki Asada

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photograph byShinji Akagi

posted2008/05/01 00:00

「決める」オーラ放つ横浜FMの山瀬功治。<Number Web> photograph by Shinji Akagi

 「やられた」。ゴールが決まるより先に、そう感じる瞬間がある。例えば、'06年ワールドカップ、日本―ブラジル戦での、ジュニーニョ・ペルナンブカーノのゴール。フリーになった彼の足元にボールが入った瞬間、防御不能のブレ球シュートを覚悟するしかなかった。

 Jリーグでも、ワシントンがDFを背負いながら、足元にボールを収めた瞬間などに、同じような感覚になったことはある。ただ、たいていの場合、対象は外国人選手である。日本代表が、個人で勝負する意識が足りない、と言われ続けているように、相手DF側から見れば、“やられそうな雰囲気”を持った日本人選手には、あまりお目にかかれない。

 ところが、今季、ある日本人MFがそんな雰囲気を漂わせているのである。横浜FMの山瀬功治が、その選手だ。

 前を向いたら、ドリブルで仕掛ける姿勢は、すでに昨季から見られたものだが、今季に入り、さらに迫力が増した。決して、抜群のスピードというわけではないが、重心が低く、体をぶつけられても体勢が崩れない。それどころか、相手DFをひきずり、あるいは、はじきとばし、グイグイと加速していく。

 しかも、シュートがうまいのがいい。たとえDFを何人振り切ろうと、その後のシュートが下手では、残るのはため息だけ。だが、山瀬功の場合は、バーを叩いたり、ポストをかすめたりと、思わず腰が浮くようなシュートが続くのである。とにかく、山瀬功がボールを持つと、得点が“入りそう”なのだ。

 もちろん、“入りそう”ではなく、“入る”に越したことはないが、相手に、打たせても大丈夫と思われるか、打たせたらまずいと思われるかでは、ずいぶん違う。「前を向いてボールを持たせたら、やられる」。今の山瀬功は、相手DFにかなりの精神的圧力をかけているはずである。

 新シーズンが開幕し、6節までにJ1全18クラブ中、14クラブの試合を現場で見たが、全体的に低調な印象は否めない。浦和などの優勝候補がつまずいているだけでなく、中位以下には、降格危機に陥っても不思議のない試合内容のクラブが、いくつもある。それだけに、山瀬功の持つ雰囲気がなお際立つ。

 今、Jリーグ屈指の、見に行く価値のある選手である。

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