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川崎F開幕戦で見えた夢の3トップの問題点。 

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浅田真樹

浅田真樹Masaki Asada

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photograph byShinji Akagi

posted2008/04/03 00:00

川崎F開幕戦で見えた夢の3トップの問題点。<Number Web> photograph by Shinji Akagi

 チームスポーツでは、コンビネーションの良さが、しばしば算数に喩えられる。曰く、1+1が2という単純な足し算ではなく、3にも4にもなる、といった具合だ。

 だが、実際には、1+1を2にすることも、それほど簡単なことではない。コンビネーションがうまくいかず、選手それぞれが持っている力をまったく発揮できなかった、などということも、決して珍しくはない。選手の組み合わせには相性というものがあり、能力の高い選手を並べたからといって、ピッチ上では、単純にそれぞれの能力が足し算されるわけではない、ということだろう。

 そこで、川崎の3トップである。昨季J1得点王のジュニーニョ、同じくJ2得点王のフッキ、そして、東アジア選手権の活躍で、今が旬の鄭大世。3人合わせて、昨季リーグ戦で71ゴールを叩き出したFWトリオは、今季J1の大きな話題のひとつだ。

 しかし、3月9日、注目の開幕戦で見えたのは、機能不全だった。ジュニーニョが「3人でいろんな形を作りたい」と話したように、ポジションを入れ替えながらプレーはしていたが、それは“席替え”みたいなもので、流動性や連係と呼べるような代物ではなかった。

 彼らの力なら、1+1+1は3で十分だ。4や5でなくてもいい。それは時間の経過とともに、実現に向かうのかもしれないが、一方で、その算式の成立を待てば、今度は他のフィールドプレーヤー7人の合計が、7を下回る恐れがある。

 監督の関塚隆は言う。

 「(開幕戦では)いつもの中村憲剛中心のパスの展開が乏しかった。もっと組織的にボールを動かすことをやらないと、うちの選手の個性が出てこない」

 中村もまた、「前と後ろのバランス」を課題に挙げた。遥か前方にいる3トップは後ろの上がりを待つことなく、攻めに行ってしまう。川崎自慢のサイドを使った厚みのある攻撃は影を潜め、せっかく獲得した山岸智も生かされなかった。

 彼らにボールを預ければ、十分な数のゴールを決めてくれるかもしれない。だが、そのためには、チームのやり方そのものを変える必要さえある。

 禁断の果実。超豪華3トップも、現段階ではそう見える。

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