新人として史上最高額の契約がまとまった。ドラフト全体1位で指名されていたスティーブン・ストラスバーグ投手が、ナショナルズとの入団交渉に合意。8月18日0時1分に定められた交渉期限まで残り2分16秒という、難航の末の契約だった。
代理人はあの辣腕ボラス。今回の交渉は、同じくメジャーで実績のなかった松坂大輔をRソックスに入団させた6年5200万ドルを引き合いに出したとされるが、最終的な契約額は4年約1510万ドル(約15億円)でまとまった。高いか安いかは意見の分かれるところだろう。だがナショナルズのキャステン球団社長が「ドラフトは本当にリスキーだ。特に投手は蓋を開けてみないと分からない」と語ったように、多くの超大物が期待外れに終わった歴史があることからすれば、過去最高だったプライアー('01年カブス)の5年1050万ドルと比較するまでもなく、破格の契約になったといえる。
契約金額の上限規定がないのはMLBだけ。
今回の契約で最も興味深かったのは、そのプロセスにおいてドラフトのシステム改革の必要性を唱える人々が多かったことだ。メジャーは“スロット”と呼ばれる推奨ラインこそ打ち出しているものの、指名選手に対して契約金額の上限を定めていない。実はそれは全米メジャースポーツのなかでMLBだけなのである。「不況のあおりで昨オフはFA選手の契約も控え目となった。先物買いのドラフト市場で足元を見られる契約はしたくない」と、ある球団のフロントは言う。コラムニストたちはすでに改革案を論じ始めている。史上最高額となった今回の契約が、今後のドラフトの行方に少なからず影響を及ぼすのは確かだろう。
MLBでも大学時代同様の活躍を見せられるか。
契約に注目が集まりすぎたストラスバーグだが、大学時代に築き上げてきた実績に異論をはさむ余地はない。1試合23奪三振やノーヒット試合を達成し、昨年の北京五輪ではアマチュアで唯一代表入りした。最高103マイル(約166km)の速球とキレの鋭いスライダーを武器に、早くも来年の開幕投手との呼び声も高い。'06年のドラフトでは、30球団のどこからも指名されることのない無名の高校生だったストラスバーグ。わずか数年で才能は覚醒も、埋没もし得る。数年後、果たして今回の契約は人々の目にどう映っているのだろうか。
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