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マグワイア球界復帰で
全米メディアが大論争。
~ステロイド疑惑を払拭できるか~ 

text by

津川晋一

津川晋一Shinichi Tsugawa

PROFILE

photograph byGetty Images

posted2009/12/02 06:00

583本塁打は歴代8位の記録。しかし殿堂入りの投票では'07年から3年連続落選している

583本塁打は歴代8位の記録。しかし殿堂入りの投票では'07年から3年連続落選している

 あの男が久々に表舞台に姿を見せることになった。通算583本塁打を誇るマーク・マグワイア。セントルイス・カージナルスの監督、トニー・ラルーサの留任が決定し、「ウチの打撃を改善してくれる。彼自身があらゆる武器を兼ね備えた打者だったからね」と、教え子を打撃コーチに招聘することにしたのだ。

 この就任に対しては、多くのメディアが過剰な反応を見せている。というのもマグワイアは今もMLBを騒がすステロイド疑惑の代表的人物だからだ。'98年に過去最多の年間70本塁打を放つなど、パワー全盛時代の申し子となった。ところが薬物使用をカンセコの自著で告発され、'05年に米下院の薬物使用に関する公聴会で証言を拒否したことで、選手としての評価は天から地まで失墜。その影響で殿堂入りも困難とされている。

雲隠れを続けるマグワイアにマスコミの追究は加熱。

 シロなのかクロなのか。指導者として適当な人格か。コラムニストたちの論調は手厳しい。さらに10月26日に行われた就任発表の場に本人が欠席したため、ステロイドに関する質疑に集中するのを回避したと受け取られ「彼は隠れようとしていないし、球団側も隠そうとはしていない」とモゼリアックGMが弁明する一幕も。そして就任から1カ月近くが過ぎた現時点で、未だ肉声が届かないことで『出だしから大揺れ』『あの一件をどう清算する気なのか』と各メディアはますますヒートアップしているのである。

 一方で地元紙セントルイス・ポスト・デスパッチは「かつて彼はチームの支柱となり、野球人気を支え牽引した側面もあった」と好意的な論調を掲げた。その上で論じるべきなのは、コーチとしての能力であるとする。マグワイアはオフ期間中に、ホリデーやシューメーカーらカージナルスの選手の個人コーチをしているものの、指導者としては未知数。今季リーグ9位に終わった出塁率の向上など、攻撃力アップが彼の使命となってくる。

まずは打撃コーチとしての実力を見極めるべき。

 スキャンダルは決して払拭されるものではないが、それよりも一人の打撃コーチとして、色眼鏡で見ることなくシビアに見極めていく姿勢が、いまメディア側にも求められるのではないか。ウィンターミーティングが始まる12月7日より前に会見が開かれる可能性もあるという。その場での、マグワイアとメディアとのやりとりをまずは見守りたい。

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