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ア・リーグMVPのジョー・マウアーは、
なぜ“満票”選出されなかったのか? 

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李啓充

李啓充Kaechoong Lee

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posted2009/12/05 08:00

ア・リーグMVPのジョー・マウアーは、なぜ“満票”選出されなかったのか?<Number Web> photograph by Getty Images

デトロイト・タイガースを「タイブレイク」で破り、プレーオフ進出を喜ぶマウアー。今季成績は打率.365、自己最高の28本塁打、96打点。出塁率と長打率の和であるOPSは10割を超えた

 ア・リーグMVPに、予想通りツインズのジョー・マウアーが選出された。

 しかし、予想通りでなかったのは、全員一致、「満票」での選出ではなかったことだ。

 投票員28人のうち、マウアーに1位票を入れなかったのは日本人記者小西慶三氏(元共同通信)ただ一人。小西記者がマウアーの満票MVPを阻んだことについて、当地では、非難の嵐が吹き荒れている。

 同記者に対する批判をまとめると、

(1) 同記者の「眼力」に対する不信 : マウアーの代わりに1位に入れたのが、よりによってミゲル・カブレラ(タイガース)であったこと

(2) 説明義務の忌避 : なぜマウアーではなくカブレラを1位にしたのかについて、理由を説明していないこと

(3) 利害相反の疑い : 特定選手との特別な関係が公平な投票を損なった疑い

 の三点となるが、以下、順を追って説明しよう。

優勝を逃した「戦犯」を選んだのは「皮肉」なのか?

(1) 眼力に対する不信

 マウアーとカブレラ。成績がどれだけ違うかを下表にまとめた。

 打率出塁率長打率
マウアー3割6分5厘 (1)4割4分4厘 (1)5割8分7厘 (1)
カブレラ3割2分4厘 (4)3割9分6厘 (6)5割4分7厘 (6)
※ 括弧内はリーグ順位

 打率・出塁率・長打率で「三冠王」を達成したマウアーを差し置いて、いずれの項目もベスト3にさえ入っていないカブレラを1位に入れたのだから、当地の野球ファンが驚愕したのも無理はなかった。

 しかも、マウアーが捕手という難しいポジションでゴールド・グラブ賞を獲得したのに対して、カブレラは「そこそこ」の一塁手。守備での価値もマウアーには大きく見劣りする。

 さらに、マウアーがチームを中地区優勝に導いたのとは対照的に、カブレラは優勝がかかったシーズン最終戦の直前に酔っ払って警察沙汰を起こし、チームの士気を著しく損なった。マウアーが文字通り「MVP」の活躍をしたのに対し、カブレラは優勝を逃した「戦犯」としてファンの怨嗟の的となっているのである。

 デトロイト・フリー・プレス紙に「皮肉で入れた票だとしか考えられない」とコメントを寄せたファンがいたことでもわかるように、小西氏がMVP投票総得点で2位、3位となった、マーク・テシェラ、デレク・ジーターをも差し置いてカブレラを1位としたことについては、タイガース・ファンでさえも「びっくり仰天」したのである。

<次ページに続く>

► 【次ページ】  ファンも同業者もその理由を説明して欲しいと思っている。

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