「お前はタケを知ってるか?」
ちょうど10年前。'99年W杯の前取材でアルゼンチンを訪ねた記者に、いきなりそう話しかけてきた男がいた。「リッチモンドで一緒だったんだ。手紙をくれと伝えてくれ」と言うと、当時24歳のアグスティン・ピチョットは記者のノートに自分の住所を書き殴った。後に主将としてプーマスをW杯3位に引き上げた英雄に、この夏は悲しいメールを送ることになった。返信は速攻で返ってきた。
「タケは僕の素晴らしい友でありコーチだった。ショックだ……」
石塚武生。チームや国の枠を越えて愛された男は、8月6日、突然天に召された。前日まで長野・菅平で高体連主催のスキルアップ講習会に参加し、部員不足や指導者不在の高校生たちを指導して自宅に戻った朝だった。「突然死症候群」が、頑健な57歳を冥土へ連れ去った。
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photograph by Naoya Sanuki