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18打数1安打からの逆襲へ…大山悠輔が語る「苦悩する幸せ」と“後輩2人”が躍動したWBC「イタリアつええなって」【阪神タイガース】

2026/04/09
真面目で、貪欲で、後輩思い。そんな人だから昨季の日本シリーズで敗れた責任を背負い込んだ。なぜあのとき、力を発揮できなかったのか――。そう思い悩む中で辿り着いた、新たな境地がある。(原題:[18打数1安打からの逆襲]大山悠輔「苦悩する幸せをかみしめて」)

 男は帽子を目深にかぶり直した。寒風吹きすさぶ駐車スペースに背を向けると、大型ショッピングモール内の通路を速足で進み始めた。

 季節は年の瀬。あと数十時間で2025年が終わる慌ただしさも相まって、急ぎ足の買い物客は皆、大柄な地元球団の人気選手に気付かない。滅多にないノーマークの環境にも助けられ、意外なほどすんなりと目的地の映画館に到着した。

『栄光のバックホーム』

 タイトルを確認すると、上映開始時間ぎりぎりのタイミングで館内に足を踏み入れた。帽子のつばを下げたまま、最後方の一番端へ。最も目立たない特等席に体を沈め、135分間、元チームメートの短すぎた人生を目に焼きつけた。

「一緒にプレーした時間はほとんどなかったんですけど、ちょっとの間でも横田と一緒にユニホームを着てグラウンドに立てた事実は変わらない。僕の中でそこが薄れることはないので」

 映画の主人公、元阪神の横田慎太郎は大山悠輔にとって1歳下の“先輩”だった。2017年2月、プロ1年目の大山が初めて参加した沖縄・宜野座キャンプの途中に横田の脳腫瘍が判明。壮絶なリハビリを戦い抜いた末、2023年7月18日、28歳の若さで天国へ旅立った。

 2人が同じ空間で汗を流した時間は実質、沖縄での10日ほどしかない。一方で独身寮「虎風荘」の自室が同じ階にあったこともあり、横田が2019年限りで現役を引退するまでの3年弱、フロアですれ違うたびに冗談を飛ばし合う仲でもあった。

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photograph by Asami Enomoto

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