#615

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超一流の戦略と技術が天皇賞を制す。

2009/03/08

 快速馬ローエングリンが、前半の1000mを60秒1の楽なペースに持ち込んで、注文通りの単騎逃げ。その手綱を取った横山典弘騎手が、「道中の折り合いは完璧。この馬とコンビを組んで、今回が一番いいレースができていたと思う」と自画自賛したほどの、絶妙の運びだった。しかしその直後に目をやると、シェルゲーム、ダンスインザムードの藤澤和雄厩舎の2騎。つかず離れずのポジションで無言のプレッシャーをかけ、どこかで息を入れたい逃げ馬にそのスキを与えない。このシーンを見たときに、一度は回避を表明していた桜花賞馬を土壇場で再登板させたことの思慮深さが汲み取れた。同厩舎の大将格ゼンノロブロイ(牡4歳)がこの大一番で取りこぼすことがないように、まずは展開面で予想できる悪材料を自分の力で可能な限り除去してしまおうと考えたのだ。

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photograph by Shigeyuki Nakao

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