「みんなラグビー好きというか、結局そういう身体なんですかね」
心なしか硬かった土佐誠の顔は、そう言ったとき少し柔らかくなった。
7月11日。東京都世田谷区にあるリコーブラックラムズのグラウンドを、関東学院大ラグビー部が訪れていた。20分ハーフで行われた試合形式の練習。昨年11月の大麻事件以来、表舞台から姿を消していた前大学王者にとって、相手と身体をぶつけてボールを奪い合う激しい場所に立つのは、昨秋以来8カ月ぶりだった。
「15人での練習もずっとできなくて、今日もラグビーらしい動きは出なかった」
“試合”後、土佐主将は渋い顔で振り返ったが、本人の動きは言葉通りではなかった。印象的だったのは後半の立ち上がり。相手選手にタックルした土佐は、外にパスされたボールを追って次の選手に連続タックル。忠実で貪欲で、ブランクを感じさせないそのプレーについて尋ねると、返ってきたのが冒頭の「ラグビー好きな身体……」という言葉だったのだ。
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photograph by Aki Nagao