“パウンド・フォー・パウンドNo.1”。つまりあらゆる階級を通じて現役最強と目されたフロイド・メイウェザーの引退は、世界中のファンを大いに落胆させた。同時に、プロモーターたちの失望も計り知れない。
5階級で世界チャンピオンとなり、放言癖も含め同業の若いボクサーの憧れの的だった天才が、なぜ一試合数十億の報酬を稼ぐ機会を捨てて引退に踏み切ったのかは、余人には窺い知れない。一部では気まぐれな“プリティボーイ”が翻意してカムバックするという期待もあるが、当分それも望めまい。強豪ひしめくウェルター級の最高カードとなるはずだったミゲール・コットとの不敗同士の対決が幻のまま終わるのは残念である。仮に2、3年後メイウェザーが復帰してこのカードが実現したとしても、互いに絶頂期の今だからこそ味わえるボクシングの醍醐味は半減されるに違いない。
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