剥き出しになったグラウンド。1カ月前には青芝が輝いていた場所が、砂塵を巻き上げている。
日本代表がW杯本番に備え「イタリアの菅平」(太田治・日本代表GM)アオスタで合宿に打ち込んでいた頃、日本の菅平では若者たちが自らを鍛えていた。
「悔いのないシーズンにしたい。日本の大学生の中で一番活躍したいです」
砂まみれの顔で、山田章仁は言った。7人制で行われた昨年12月のドーハ・アジア競技大会ラグビー決勝では、後半ロスタイムに劇的な逆転サヨナラの金メダル・トライ。国内の試合でもスリリングでスペシャルなトライを量産し、近未来のジャパンを担うと期待されるフィニッシャーは、慶大の学生として最後の夏を菅平で過ごしていた。8月26日、関東学院大との練習試合には7対24で敗れたが、山田は学生王者の分厚い壁に何度も挑み、集中タックルを浴びてもなお強烈なオーラを発して前へ突き進んだ。
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photograph by Nobuhiko Otomo