きっかけは、ニューヨーク・ヤンキースに移籍した松井秀喜のひとことだった。
「キャンプに入って、まだ1日か2日しかたっていないのに、『いったと思ったボールが全部いかない。違う打ち方をしないと駄目だ』と言うんです」
前シーズン、松井はキャリア最高となる50本のホームランを放ち、“日本のホームラン王はメジャーで通用するのか”という期待を背に海を渡っていた。その松井から出た言葉だけに、衝撃的だった。
「それまで、松井はボールの下側を打ち抜いてスピンをかけることでホームランを量産していました。10年かけて日本で完成させた打法です。ところがそれでは駄目だという。驚きました。ボールにバックスピンをかけて打球を上げることによってホームランは生まれる――それがプロ野球の定説で、わたしもそう信じていましたから」
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photograph by Tamon Matsuzono