野村克也は、自身の野球理論や人生論を、「知らないより知っていた方がいいもの」と言い、原理原則と呼んでいた。走者三塁でのギャンブルスタートは、高校野球でも見られる。12種類のボールカウントによる投手と打者の心理変化(有利不利)に根ざした配球は、あらゆる年代の指導者とプレーヤーに標準装備されるようになった。人生をかけて野球を言語化した「ノムラの考え」は、かつてヤクルトや阪神、楽天で指導を受けた者にとって困ったときに立ちかえることができる道標、原点になっていた。だが今は、彼らだけでなく、野球に携わるものの原点、原理原則になった。
野村は生前、宮本慎也と稲葉篤紀にこう語りかけた。
「お前たちが監督をする姿が見たい。冥途の土産になるよ。間違っても、俺の野球をやろうなんて思うな。俺は新しい野球が見たい。俺は野球の原理原則を教えただけだからな。俺を土台にして、新しい野球を見せてくれよ。野球は時代に応じて変わるし、監督だって変わらにゃいかん」
2026年も、相変わらず野村野球に触れた監督が多い。北から日本ハム・新庄剛志、楽天・吉井理人、巨人・橋上秀樹(監督代行)、ヤクルト・池山隆寛、阪神・藤川球児。そのうち池山と橋上は、コーチとしても野村の薫陶を受けている。
野村は、血液型から打者心理まで「タイプ分け」を好んだ。選手観察においては(1)「らしくあろう」と生きるタイプ、(2)意気込みだけで生きるタイプ、(3)天性だけで生きるタイプ、(4)自己限定して生きるタイプ、というもの。野村は(1)を求めたが、遠くへ飛ばす天性を持っていた池山は(3)に分類された。野村は「天性タイプは、あぐらをかいて怠ける者もいるが、多くは貪欲で向上意識が強い。チームにとっての自分らしさとは何か。そう考えるように導いてやるのは、指導者の仕事」と言っていた。
プラン紹介
「雑誌+年額プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています
「雑誌+年額プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています
記事


