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「悲劇的な感情をあおりながら勝つためのパワーとする」町田ゼルビアを“勝つ集団”に変えた黒田剛が確信する「プロでも変わらぬもの」とは《インタビュー》
レンズの横のボディーに小さく「Z」。機種を示すロゴだろう。目立つ位置ではない。なのに、その人は、フォトグラファーがカメラを向けるや言った。「そのZ、ゼルビアですか」。監督だ。いや勝つ監督。常なる観察が洞察へと結ばれる。
黒田剛。FC町田ゼルビアを率いて、この取材時はJ1の6位、首位の可能性は消えるも上位を譲らない。青森山田高校では全国選手権制覇3度。町田の監督就任時の公式ページ略歴には各大会での「優勝」と「準優勝」が計15度も登場した。
執拗なプレスと対人防御、ためらいなき縦へのフィード、議論を呼んだロングスロー。焦点を絞り切り、相手の長所を最小化する。ぶっちぎりでJ2を制し、J1昇格の昨年度はいきなり3位。「高校の監督に何が」の懐疑は失せた。町田のクラブハウス。サッカーならぬ「勝負」という競技の指導者にインタビューした。
「根拠のない自信を排除、不安を常にさがす」
――高校生とプロ。人間は人間ですか。
「30年、高校サッカーをやってきて、80人くらいのJリーガーが輩出しましたが、彼らを通してもプロの世界は見えなかった。自分が入ってみて刺激的なところもあったし、ああ、やっぱり、と思うところもある。高校は教育。プロは人生。アプローチを変える必要はある。ただ、タイトルを獲ることで将来が好転していくのは同じです」
――高校とプロのチーム構築は重なる?
「アマチュアのよさとプロのクオリティーのハイブリッド化を図ることが重要だと思いました。プロにどっぷり浸かるのではなく、高体連のあの毎日の厳しさ、負け続けた20年の挫折とその後の10年の上昇を忘れてはいけない。365日1日24時間をどう構築するのか。勝利から逆算して自分とチームは何をすべきかを整理していく。ひたむきに全国優勝をめざした日々が組織づくりに欠かせないパワーだと思っています」
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