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【J1首位】町田ゼルビア監督・黒田剛の“結果”へのこだわり「博才がある方だな、と」《FD、コーチ、青森山田出身選手が決断の舞台裏を証言》

2024/07/14
青森山田を28年間指揮、その後町田の監督に就任した黒田剛
カリスマ経営者による決断が、旋風を巻き起こした。高校サッカーの名将は、なぜプロクラブをわずか1年半でJ1優勝を狙えるほどに成長させることができたのか。監督就任の背景と緻密な組織づくりの秘密を探る。(原題:[躍進の舞台裏]黒田剛&町田ゼルビア「大いなる博打」)

 アマチュア界で圧倒的な成功を収めてきた名将を、プロの世界で勝負させる――。この“ありそう”に見えて、実はめずらしい発想が大躍進のトリガーだった。

「どの世界であれ、優秀なマネジャーというのは結果を出している人。だから、次期監督候補に黒田(剛)さんの名前が挙がってきたので即決しました」

 目下、初挑戦のJ1で首位争いを演じるFC町田ゼルビアの藤田晋社長は、斬新な監督人事をそう振り返っている。言わずと知れた大手IT企業『サイバーエージェント』の総帥。2022年12月1日から、同社社長と兼務する形で本格的な強化に乗り出し、クラブの歴史を一変させた。

 新監督に抜擢された黒田は長く高校サッカー界に身を置き、輝かしい実績を残してきた。'95年から27年にわたって青森山田高の指揮を執り、冬の高校選手権で同校を3度優勝へ導いた名将中の名将である。

 もっとも、これまではプロの世界に身を投じ、大きな成功を収めた高校サッカーの名将は1人もいない。この点について藤田社長は「そもそもサンプルの数が少ないですから」と、意に介さなかった。

 成功例がない一方、失敗例もほとんどない。ならば、やってみる価値はある――。そうした攻めの姿勢は、いかにもMリーグをはじめ、数多くの新規事業を成功させてきた辣腕経営者のそれらしい。事実、その勝負勘が見事に的中することになった。

このままで本当に昇格できる陣容が整うか、不安はあった。

「博才がある方だと思いましたね」

 言葉を選びつつ、そう話すのは原靖フットボールダイレクターだ。J2で戦うファジアーノ岡山の強化部長を務めていた'22年秋頃、町田から声がかかり、新たなプロジェクトへの参加を決断している。

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photograph by J.LEAGUE

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