記事を
ブックマークする
「結果に意識を向けない」福岡ソフトバンクホークスの苦境を打開した“言葉の力”を探って「今日、いいのを見つけました!」《日本シリーズ制覇の舞台裏》
闇夜のなかで眠りこける大阪城の天守閣に届かんばかりの絶叫だった。
「最後、俺がホームラン打って、決めてやったぜぇぇぇぇぇぇ!!」
ソフトバンクの祝勝会。大阪市で行われた宴がはじまると、だれもがシャンパンのしぶきにまみれ、やがて中締めになった。指名された野村勇はゴーグル姿で登壇すると、甲高い調子で勝ち鬨をあげた。
その2時間ほど前、甲子園では阪神との日本シリーズ第5戦を4時間9分の熱戦の末に制し、小久保裕紀監督が宙を舞った。5年ぶり12度目の日本一。万感の思いをかみしめるように指揮官は言った。
「昨年のこともあったので喜びも倍ぐらいのものを感じました。昨年、ここで敗れた喪失感を1年間、持ちつづけていました」
昨季はリーグを独走優勝し、クライマックスシリーズ(CS)も制しながら、日本シリーズでは連勝後に4連敗。シーズン3位だったDeNAの後塵を拝していた。
監督2年目の小久保は1年前の雪辱を果たした安堵からか、4連勝で一気に日本一を決めた一撃を振り返り、おどけた。
「今日のイサミのホームランにはビックリしました」
第5戦は2点を追う8回に柳田悠岐の2ランで追いつき、延長戦に入った。11回、先頭で打席に向かう野村は胸中で呟いた。
高めに入ってくるボールを強く叩く――。
ただその一心だった。10回からマウンドに上がった阪神のエース村上頌樹からは、6月の交流戦でも2安打を放ち、苦手意識はない。2-2からの5球目だ。148kmの速球を強振すると、ライナーで虎党がひしめく右翼席に飛び込んだ。
全ての写真を見る -10枚-プラン紹介
「雑誌+年額プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています
「雑誌+年額プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています
この連載の記事を読む
記事


