#1014
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《ダルビッシュ有の名勝負③》2009年日本S:巨人を翻弄した“立ち投げ”の衝撃…鶴岡慎也「おいおい、これで本当に投げんのかよ」

2024/06/23
6回、87球を投げたダルビッシュ。のちに右手人差し指の疲労骨折が判明した
日本ハムのエースは投げることができるのか―。'09年の日本シリーズで、焦点の一つとなったのが故障を抱えるダルビッシュ有の回復具合だった。巨人が先勝して迎えた第2戦のマウンドに、背番号11は立った。ところが普段とまるで違う姿に味方までが驚き、巨人打線は困惑することになる。(初出:Number1014号 巨人を翻弄した“立ち投げ”の衝撃。)

 一瞬、顔が強張ったように感じた。

「可能性はゼロではないと思っていました。ある程度の準備、心構えというのはしていたし、試合前には(先発で)来るかもしれないという情報も伝わってきていた。でも、メンバー交換して改めて、名前を見たときには『来たか!』と。ちょっと武者震いのようなものを感じましたね」

 2009年の日本シリーズ第2戦。試合前のメンバー交換を終えた瞬間の思いを、巨人の監督・原辰徳はこう振り返った。

 日本ハムの監督・梨田昌孝と交換したスターティングオーダーに記されていた投手の名前は「ダルビッシュ有」だった。

「正直言って投げて欲しいとは思っていましたが、私も投げられるとは思っていなかった。最終的に(先発を)決めたのは、確か日本シリーズが始まる1日か2日前だったと思います」

 こう語って梨田は記憶を手繰り寄せた。

本人が投げると言うまで、絶対に投げさせないと決めていた。

 この年のダルビッシュはワールド・ベースボール・クラシックから帰国後、間もない4月3日の開幕戦に先発して黒星を喫したが、前半戦は12勝3敗、防御率1.31の好成績で折り返した。ところがオールスター戦で打球が右肩を直撃。8月22日には右肩の違和感で登録抹消されるなど、後半戦は故障に苦しむシーズンとなった。9月には戦線に復帰したものの、今度は左臀部を痛めて、9月20日のオリックス戦では5回で7四球を与えてKO降板した。

「確か直後の福岡遠征だったと思います。本人が監督室に来て『もう投げられない』と言ってきた。それで登録を抹消しました。その時に将来のこともあるし、本人が投げると言ってくるまで、絶対に投げさせるのはやめようと決めていたんですね」

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photograph by Naoya Sanuki

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