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「道頓堀ダイブを防げ!」「全裸で川に」阪神優勝で警察官1300人を動員…大阪府警の「お巡りさんはつらいよ!」《’03年は5300人が飛び込み、7人を検挙》
雌伏の時が長ければ長いほど、念願が叶った喜びは大きくなる。前回のリーグ優勝から18年、日本一からはじつに38年。極限まで膨らんでいた阪神ファンの渇望が弾けたエネルギーは爆発的だった。
民間シンクタンク「アジア太平洋研究所」の試算によると、'23年の阪神優勝が日本全国にもたらした経済波及効果は1051億2400万円に及ぶという。この数字には当然、祝杯のビール代も含まれる。街に繰り出して、乾杯を繰り返した虎党は多かったことだろう。
実際、優勝当日の晩、大阪を代表する繁華街・ミナミにはユニフォーム姿の阪神ファンが数多く駆けつけていた。彼らが目指したのは、グリコの電飾看板が観光名所になっている、道頓堀川に架かる戎橋だ。ワールドカップなどのビッグイベントや慶事の際には戎橋の欄干から川に飛び込む浮かれ者が続出することでも知られるが、'85年10月16日、阪神のリーグ優勝に興奮したファンが衝動的に飛び込んだのが起源とされている。派手に水しぶきを上げる様はたしかに見栄えがするし、野次馬からは大きな歓声が上がる。道頓堀川へのダイブは、目立ちたがり屋の虚栄心を満たすにはもってこいの行為なのかもしれない。
暴徒化した群衆が、ケンタッキーフライドチキン道頓堀店(現在は閉店)の店頭に設置されていたカーネル・サンダース像を運び出し、制止する店員に暴行を加えたうえ、道頓堀川に投げ落としたのも、この日に起きた事件だ。かに道楽道頓堀本店の名物・動くカニの看板によじ登り、カニの脚をへし折った輩もいた。狂喜と狂気が交錯し、一帯はカオスと化したのだ。群集心理が悪い方向に働くと恐ろしいことになる。
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