24歳を迎えた今シーズンを「特別」と位置づける。再び芽生え始めた、頂点を目指す戦いへの渇望。勝負のプログラムは、今までで最もハードな挑戦だ。技術の進化と意識の変化。見出した新たな喜びとは――。
北京オリンピックを2月に控えた今季、宇野昌磨は新たな挑戦を自分に課した。
「自分の代名詞と言っていただけるプログラムにしたい」
そんな思いを込めた新フリースケーティングの「ボレロ」。その構成に、過去最高の難易度である、5回の4回転ジャンプを組み込んだのだ。
現在、国際スケート連盟(ISU)のルールでは、4回転ジャンプは1種類しかリピートが許されないので、合計5回入れるためには、4種類跳ぶことが要求される。そのため自身3年半ぶりに再開した4回転ループを冒頭に、続いて4回転サルコウ、そしてこれまで冒頭に入れることが多かった4回転フリップは後半に持ってきた。4回転トウループは、コンビネーションの2回に組み込む構成だ。
グランプリ(GP)シリーズ1戦目のスケートアメリカでは、冒頭の2つは失敗したが、トウループ2回とフリップの合計3本成功させて、ビンセント・ジョウに次いで2位となった。
「もちろん難しいことは、認識しています。これだけ難しいからこそ皆さん失敗が伴って、今まで以上に順位の変動が激しくなっていると考えている」
世界選手権3連覇中のネイサン・チェンが、ジャンプミスから3位に終わった大会の会見でこう語った宇野は、さらに続けた。
「でも僕は簡単な構成でもまとめられないんですよ。この4年間、練習してきた中でノーミスらしい演技を、ほぼしていない。それならば僕は限界まで難しい構成を日々練習することによって、失敗しても皆さんに遅れを取らないように挑んでいきたいと心掛けていたんです」
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photograph by Asami Enomoto