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「ゲームクリアもゲームオーバーもない」パワプロ『栄冠ナイン』はなぜ“刺さる”のか。【にじさんじ甲子園2023大特集】

2023/08/03
『にじ甲』の熱狂は、「栄冠ナイン」あってこそ。高校野球のリアルを再現し、練り上げられたゲーム性。全国制覇でも終わらない、“無限”の魅力に迫る。

 もし自分が高校野球の監督になったら? 小技で繋ぐ野球を志向するか、フライボール革命を取り入れるか。それとも、エースで4番の絶対的な選手を中心に据えてチーム作りを進めるだろうか。そんな誰もが一度は抱く妄想をそのまま形にしたゲームが、今や「パワプロ」の看板モードたる「栄冠ナイン」だ。

 本モードでは、プレイヤーは監督となって野球部員に日々の練習メニューを指示し、試合になれば選手を送り出すオーダーを決めて采配を揮う。野球操作は一切不要のシミュレーションで、すごろくのような形式で日程を進めて行くシステムは、初搭載となった2007年発売の『パワプロ14』から変わらないが、作品を重ねるごとに新要素を追加してパワーアップを続けている。

 特色はとにかくゲーム内で「高校野球らしさ」を追求している点だ。練習試合は学校のグラウンド。ラストアウトは必ず一塁にヘッドスライディング。演出だけでなくゲーム性にも「らしさ」は満載で、期末テストの成績が悪かった部員は練習に悪影響を及ぼすし、雪の多い地域は冬場に練習の効率が下がる。有望な中学生の越境入学を促すため全国へのスカウト行脚も可能で、何でもない打球にエラーが連鎖する「甲子園の魔物」でさえも、システムで再現されている。「プロ野球」をタイトルに持つゲームながら、このモードにはひたすらアマチュア野球の魅力が詰まっているのだ。

YouTubeより
YouTubeより

 そしてプレイヤーを虜にして止まない仕組みが、高校野球ならではの“時間制限”だ。監督には年齢の設定はなく勇退もない。その気になればゲーム内の時間は10年でも100年でも続けてプレイできる。しかし、部員たちの高校生活は3年限りだ。チームを優勝に導いたエースも、ベンチを温め続けた代走要員も、3年経てば等しく卒業していく。

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photograph by Konami Digital Entertainment

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