6月19日、東京ドームに集まった5万人を超える観衆が発する熱量の大きさは、長年、格闘技を撮影し続けてきたカメラマンも経験したことがないほどだった。なぜ那須川天心vs.武尊は、これほどまでにファンの心をつかんだのか――。
あの熱量は一体、何だったのだろうか。那須川天心と武尊の対戦から早や2カ月。この試合から私がいちばん強く感じたこと。それは、圧倒的なエネルギーだった。超満員の東京ドーム全体がその磁場となっていた。リング上の2人の情熱、関係者の想い、観客の期待と視線。それら全てが僅か6.5m四方のリングへ集中し、津波のように押し寄せるさまは、これまで経験したことがないと断言できる。
東京ドームは過去に幾多の名勝負が繰り広げられた場所だ。私は旧K-1の試合も含めて、ドームのリングサイドで撮影を続けている。その中でも印象的な試合がいくつかある。90分の死闘だった桜庭和志対ホイス・グレイシー。KO負け寸前をゴングに救われ、大逆転の腕十字を決めたアントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ対ミルコ・クロコップ。
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photograph by THE MATCH 2022 Susumu Nagao