#1048
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[番記者は見た]スプリングトレーニング密着1週間

2022/03/31
3/14、マドン監督(右)と談笑。フリー打撃は「ヤバい! 何でみんな見えてんの?」と逆光に苦戦
今年も野球少年のような笑顔がグラウンドに戻ってきた。担当9年目の記者が見た、キャンプ初日から7日間の記録。

 99日間のロックアウトが終わり、いつでも渡米できるようにあらかじめまとめていたスーツケースを引きずりアリゾナ州に向かった。昨年はコロナ禍で取材ができなかったため、2年ぶりのキャンプ取材である。3月13日。球場に向かうと、タイミング良く、身体検査のために訪れた大谷翔平が現れた。翌日のキャンプインを控え、明るい表情からは喜びがにじみ出ていた。

3月14日 「しゃす!」

 アリゾナ州特有の冷たい朝の風が吹いていた。午前7時40分。大谷が左肩に真っ赤なバットケースを担ぎ、水原一平通訳とともにキャンプ施設に入った。ロックアウトの影響で予定より26日遅く始まったメジャー5年目のキャンプ。大谷に割り当てられたクラブハウスの席は入って右横の2席。隣席は同い年で仲が良い内野手フレッチャーだ。筆者があいさつに向かうと大谷は「しゃす!」と笑顔。担当9年目を迎えるが、メディアとの距離感は近すぎず離れすぎず、という印象はずっと変わらない。日米合わせスチルカメラ10台、テレビカメラ7台、約30人の報道陣が集まった。実に昨夏のホームランダービー以来の屋外フリー打撃では43スイング中、柵越え8本。初日とは思えないスイングの鋭さ。昨季より左肘を高く掲げ、バットの先端がより投手方向に向いた新たなフォームが目を引いた。現状に満足しない大谷らしさがのぞく。

3月15日 今年も“らしさ”全開

 初ブルペンは捕手を座らせ24球。昨季は夏場からテークバックをコンパクトにしたことで制球が安定したが、この日は本来の大きなテークバックに戻していたように見えた。練習後には昨年11月以来となる対面形式での会見が開かれた。開幕投手への意気込みを問われ「やってみたいなというのはもちろんある」としつつ「特に絶対にやりたいみたいなところはない」。昨季終盤に「本塁打王をとりたい?」と聞いた時も同じような無欲な返答だった。今年も“らしさ”は全開だ。水原通訳によれば「翔平はめちゃくちゃ状態は仕上がっています。今までの中で一番、いいかなと勝手に思っています」。

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photograph by Nanae Suzuki

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