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[トップインタビュー]球団GMが明かす「翔平からもらったアドバイス」

2022/03/31
「大谷頼み」の印象が拭えず、西地区4位に終わった昨シーズン。浮上への至上命題であるオフの戦力補強に手応えはあったのか。チーム再建を担うGMが率直に語る、大谷とエンゼルスの2022年。

 エンゼルスGMのペリー・ミナシアンはまさにアメリカンドリームの体現者だ。

 8歳のときにレンジャーズのバットボーイになったのが球界でのキャリアの始まりだった。やがて、エクスポズ、ブルージェイズなどで編成要職に就くと、ブレーブスではGM補佐まで上りつめた。

 そのミナシアンに、'14年以来プレーオフから遠ざかっているエンゼルスをポストシーズンに導くGMという任務が託されたのが一昨年のこと。現場で実務経験を積んできた彼は、大谷翔平の起用について持論を明かす。

「私は選手に制限させることが好きではないし、才能が溢れる選手に制限は好ましくないと考えています。(制限を)解放して持っているポテンシャルを満たさせるのが理想的ですからね。私がエンゼルスに来たときは登板前日や翌日に打撃をしないという制限がありましたが、毎日プレーすることを前提にした『制限なし』の起用法が良いのではと思いました。もちろん疲労で休みが必要なときは、ジョー(・マドン監督)と話し合って決めればいい。そういう意味でも昨季、ショウとジョーはよいコミュニケーションが取れていたと思います」

 結果的に昨年はキャリアハイの全162試合の98%にあたる158試合に出場し、ア・リーグMVPにも輝いた。その起用法は今季も続く。大谷の能力について聞くと、ミナシアンは目を輝かせた。 

「ピッチャーとしてはシーズン中に新球を作るより、既に持っている武器を進化させる能力があります。グリップを変えたり腕の振りを微調整したりすることに長けた投手を私は“ハンド・タレント”と呼んでいますが、ショウはまさにそれ。誰でもできるわけではないのに彼はやってのける。あと、打撃に隠れて忘れられがちですが、ショウは盗塁もチームトップの26でした。この盗塁数には、足の速さだけではなく、走塁能力も反映されているはずです。走塁はかなり難しいスキルですが、ショウは抜群です。得点もチームトップ(103)でした。一塁や二塁から好スタートを切ることによって、際どいと思われる打球でもホームに帰ってこられるわけです。去年は何度もそんなシーンを見ました。スライディングもいいし、ベースを踏む位置も手で触る位置も鋭い。野球をよく知っている人です」

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photograph by Nanae Suzuki

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