「とにかく、楽しく、元気よく」をモットーに掲げる笑顔の指揮官は、22歳の4番打者に大いなる期待を寄せ、20歳のエース候補に温かい視線を送る。連覇の難しさを知る男は粒揃いの燕軍団をいかに率い、どんな秘策を練っているのか。
「沖縄、よく眠れるんですよ。キャンプって朝が早いから、体が疲れているというのもあるけど、まだ試合に入ってないから気持ちがピリピリしてない。あと、ベッドがいいからかな」
連覇を目指す高津臣吾監督は、笑みを見せながらそう話した。シーズン中は眠りが浅く、2時間単位で目が覚めてしまう。
「ストレスなのか、歳をとったからなのか、ちょっと分からない。でも、キャンプの時はこれだけ眠れるんだから、シーズンを戦う監督って激務ということなんでしょう」
自分のことを客観的に語るが、ことチームのことになると、言葉が熱を帯びる。
「連覇の難しさは、自分自身が体験してよく知っています。勝つなんて簡単じゃないので、今季、大切にしたい言葉は基本、基礎、謙虚。これは自分に言い聞かせている意味合いも強いです。ただ、今年も選手は間違いなくやってくれるでしょう。山田(哲人)、打ちます。オスナとサンタナ、これもやります。55番村上(宗隆)、間違いなく打ちます。奥川(恭伸)、これも投げます。だからこそ、僕がしっかりマネージメントしなければいけない。選手の働きを生かすも殺すも、僕次第。去年は探りながら采配をふるっていた感じだけれど、今年はより繊細に点を取る、点を防ぐために適切な指示、起用、戦略を採っていくつもりです」
昨季のヤクルトは、投打にわたって大幅な改善が見られた。
チーム打率は.242から.254へ、出塁率は.321から.333へと向上。さらに高津監督が心血を注いで立て直しを図った投手陣は、チーム防御率が4.61から3.48へと1点以上も改善した。
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photograph by Nanae Suzuki