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どんな滑りをしたのか、どんなコースだったのか。鬼塚雅には前回の五輪の記憶がほとんどない。
「もう自分が何もできなかった。できなさ過ぎたんです」
スロープスタイルでは想像以上の強風に阻まれて19位。ビッグエアは大技の完成が間に合わず8位。不本意な結果に終わった悔しさが記憶の蓋を閉じさせたのか。
「いえ、悔しい大会ならもっと他にあります。でも、五輪は何もできなさ過ぎて、悔しさもMAXにならなかったんです。だから記憶に残らない。確かに競技以外では色々な経験をさせてもらいました。でも何かを得たかと言われたら何もないんです」
それでも苦い経験は契機にはなった。冷静に自分を見つめ直せば、何が必要だったかは理解できた。
「ビッグエアに関しては新しい技に挑戦するのが遅かった。スロープスタイルは風のある状況なんかは考えていなかった。準備不足でした」
そこからは思い切って板を切り替え、安定感よりも空中での操作性の良さを追求することにした。結果、板の幅は1cmほど細くなった。足のサイズが22.5cmと小さい鬼塚にとって、それだけでも取り回しがしやすくなる。
「実際には7mmぐらいかな。でも靴だったら1cmって結構変わりません? そんな感覚です」
どうして高い操作性が必要だったかの答えが、いま鬼塚が見せている、女子では鬼塚しか実戦で成功させていない大技『キャブダブルコーク1260(トゥエルブ)』にある。
「2年前からみっちりやってきました。その頃から取り組まないと間に合わないなと思っていて、この技をやらないと勝てなくなるだろうなという時代の流れも予想できていたので」
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