その姿を追うカメラマン、番勝負の舞台の女将、地元東海棋界の重鎮、将棋中継の革命者、将棋沼にハマった芸人、女流棋士にして観戦記者。6人が間近で見て、感じて、魅了されたヒーローの横顔を明かしてくれた。
僕は小学校から高校まで将棋部、大学も将棋サークルで、すべて自分で立ち上げました。全然強くないんですが、将棋愛だけはあったんです。実は、サイバーエージェントでも将棋部の部長を務めています(笑)。
今は将棋チャンネルの技術責任者として、現場でどうやったら中継できるか、企画を実現できるかを考えています。将棋中継は特殊で、当初は試行錯誤の連続でした。例えば対局室のカメラ。対局は朝から夜まで続き、始まると基本的にカメラを取り換えられません。既製品では10時間以上も撮影するとカメラが熱を帯びて、内部のファンが回り出します。その動作音が静寂な対局室だと棋士に聞こえて邪魔になってしまうので、とにかく音が出なくて長時間の撮影に向くものじゃないといけません。特に盤面を撮影する天井カメラは厄介です。通常、カメラは上から吊るして撮影するように作られていないのでレンズの重みで下がってしまい、機材トラブルが起きやすいんです。
最初のオリジナル番組が「藤井聡太四段 炎の七番勝負」でした。我々が設営したスタジオでの対局は初めてで、カメラ問題に加えて照明など、対局にふさわしい環境かを念入りに確認しました。藤井さんは学ラン姿で、関係者の皆さんに礼儀正しく挨拶されていたのを覚えています。オーラが中学生という感じではなく、物静かで、はしゃぐ姿は見たことがありません。そんな藤井さんでも「ABEMAトーナメント」の団体戦は楽しそうです。いざ自分の対局が始まると、一気に雰囲気が変わりますが。
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photograph by ABEMA