日本では大谷と同じ左のスラッガーとして活躍し、渡米後は4年で408試合に出場。メジャーをよく知る男が驚嘆したのは、二刀流を完遂した「調整力」だった。
ホームラン数の「46」はとてつもない数字。ケガの影響があった昨年までとは違い、試合を重ねて打席数が増えてくればホームランは自ずと増えてくるとは思っていましたが、これほどの数を想像した人はいなかったのではないでしょうか。
「打者・大谷」の進化の理由のひとつは、打席での「タイミングの取り方」にあると思います。2018年のメジャー移籍後は、右足を上げる打法からノーステップに切り替えて対応してきました。昨年はもう一度足を上げる形に戻してみるなど試行錯誤を続けていましたが、今季は再びノーステップに戻し、ボールにコンタクトするまでの動作をシンプルにしました。
自分主導でスムーズに合わせられるようになったことで、フルスイングできる球も増えた。それが「46」という数字に直結したと思います。そのべースには、下半身をしっかりと鍛え上げたことがある。'18年オフに右ひじのトミー・ジョン手術を受けた後、膝も痛めてリハビリ期間がありましたが、そこで体全体のバランスを見直してトレーニングしたのでしょう。ある意味でこれは「怪我の功名」とも言えます。
今シーズン序盤のホームランは、センターから右中間、左中間へ、惚れ惚れする打球が飛んでいました。元来スイングワークの「前」が大きく飛距離は出やすいですが、リーチの長さを存分に生かし、対戦相手の投手もお手上げという当たりでした。後半戦に本塁打のペースが落ちてしまったのは、やはりオールスターゲームのホームランダービーの影響があると思います。
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