親心。41歳のアルバート・プホルスと27歳の大谷翔平をみていると、この言葉が妙にしっくりとくる。ルーキー時の'18年2月、キャンプインを前に本拠地アナハイム近郊にあるカリフォルニア州立大学アーバイン校野球部のグラウンドでともに打撃練習をして以来、現役最多の679本塁打を放つレジェンドは何かと大谷のことを気にかけた。
しかし、その恩師との時間に突然の別れが訪れたのは5月6日のことだった。エンゼルスからプホルスへの突然の戦力外通告。今季、チームメイトとして過ごしたのは、2月17日の野手組キャンプインから戦力外通告前日の5月5日までのわずか78日間だった。それでもふたりにとっては濃密な時間となった。
かねて、プホルスは大谷についてこんなことを言っていた。
「二刀流でプレーができるのは、彼しかいないだろう。日本時代から築き上げてきた実績もあるからね。ただ、私は将来的なことを考えれば、どちらかひとつに絞った方がいいのではないかと思うことがある。彼のバッティングはすごいよ。打者に専念すれば、毎年確実に30から40本塁打は打てるだろう。だが、投手をやっていれば、毎試合出場することは難しくなる。それに投手には常にケガのリスクがつきまとうからね」
無事これ名馬。類まれな二刀流としての才能を認めつつも、選手として長くプレーして欲しいと願う気持ちが伝わってくる言葉だった。
だが、今季の大谷の出場は、投打で158試合にも及んだ。今季に限っては、プホルスの心配も無用に終わったわけだが、開幕前からプホルスは大谷の大ブレークを確信するかのような発言をしていた。
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