#1038
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[フォトドキュメント]四十住さくら&西矢椛「パークが育てた少女の夢」

2021/10/21
左から西矢椛、四十住さくら
東京五輪でスケートボード2種目の金メダルを独占した日本女子勢。19歳と14歳、ふたりの初代女王はいかにして研鑽を重ねてきたのか。和歌山、大阪、神戸を訪ねて、彼女たちの“特別な場所”を巡った。

 関西国際空港からタクシーに乗って35分。「お客さん、たぶんこのへんですかね」と運転手がブレーキを踏む。白壁で囲まれた古い造り酒屋の前で降りた。入口の門には「吉村秀雄商店」という木製の看板がある。ここに間違いない。目的地「さくらパーク」はここの敷地内にあり、その日の昼過ぎ、僕は2カ月前の東京オリンピックで金メダルを獲った19歳の女の子と会うことになっていた。大正4年創業の造り酒屋とスケートボード、なぜこんな不思議なミスマッチが起こったのか、4代目店主の安村勝彦社長が教えてくれる。

「去年の5月でしたかね。不動産屋を営む友人から連絡があって、あんたんとこ、たしか使ってない倉庫あったよなって」

 あるにはあるけど、急にどないしたんや? 友人の説明によると地元和歌山・岩出出身のスケーターと、彼女の母がスケートボードの屋内練習場となる場所を探しているとのことだった。ヨソズミサクラ、その女の子の名前は安村さんも知っていた。

「そういうことなら、ほな一回会ってみましょかってなりましてね」

 65歳の安村さんはスケボーに対して特にネガティブなイメージは持っていなかった。たまに映画を見に行く大阪・岸和田のショッピングモールにはスケートパークがあり、そこで懸命に滑る若者たちを目にしていた。

「いざ、さくらちゃん親子に会ってみたら、東京オリンピックはもちろん、次のパリでもメダル獲りたいんです! と。その言葉の強さにグッと心打たれましたね」

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photograph by Atsushi Kondo

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