森保ジャパンのトップ下で攻撃の鍵を握る25歳と、東京五輪で不動のボランチとして躍動した23歳。代表の中盤を司り、その未来を担うであろう2人が、個と組織の二元論を越え、独自のサッカー哲学を語った。
何が正解かは誰にもわからない難問を、ぶつけてみたい男たちがいる。
鎌田大地と田中碧――。
前者は日本代表のトップ下を務め、後者はU-24日本代表として東京五輪に出場したボランチである。田中は9月のW杯アジア最終予選に招集される予定だったが、チーム事情のために見送られた経緯がある。
彼らはいずれも、南野拓実、久保建英、伊東純也、古橋亨梧、堂安律といった局面を打開できるアタッカーの能力を最大限に引き出せる存在だ。
古い言い方をすれば“司令塔”ということになるが、確固たるビジョンがあり、野心を備え、自分の言葉を持っている。
だから、ふたりに聞いてみたかった。日本代表がW杯でベスト8にたどり着くために必要なものはなんだろうか、と。
Jリーグの絶対王者として君臨する川崎フロンターレで頭角を現し、プロ5年目を迎えた今夏デュッセルドルフに移籍した田中が、その過程において最も成長したという手応えを掴んでいるのは、テクニックでも、フィジカルでもない。
「頭の中、ですね」
中村憲剛や大島僚太といった、技術とサッカーIQの極めて高い先輩たちの薫陶を受け、考える力や言語化する能力を研ぎ澄ませていったのだ。
「この1、2年で頭の中がすごく整理されて、サッカーが大局的に見られるようになった。ポジショニングひとつ取っても、以前の自分とはまったく違うところに立ってプレーしています。ここに立てば、自分が楽にプレーできるとか、ボールが前に進むとか、自分がボールに触らなくてもチームがうまく回るとか。そういう立ち位置が分かってから、世界がすごく変わりました」
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photograph by Naoyoshi Sueishi/Shidu Murai