東京オリンピックでの千賀滉大はブルペンで待機した。そして中盤に打ち合いとなった準々決勝のアメリカ戦、5-6と1点差に追い上げた6回に4番手としてマウンドへ上がった。ここで千賀は3者連続の空振り三振を奪って、アメリカの勢いを止める。結果、9回に追いついたあと、延長で飛び出した甲斐拓也のサヨナラヒットは千賀のピッチングが呼び込んだと言っていい。
菅野智之とともに日本代表のど真ん中にいるはずだった千賀が、そのポジションを山本由伸と森下暢仁に譲ってリリーフに徹した。その姿を見て思い出した彼の言葉がある。
「WBCでも僕は脇役的存在だと思っていました。でも実際はそうじゃなくてビックリした(苦笑)。ただ、その(ど真ん中で戦う)ための心の準備をしていなかったのがよかったのかもしれません。僕、目立つのは好きじゃないんです。前々から注目されるとそれに応えなくちゃという気持ちになって、よくわからない感情が出てきてしまいますから……」
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photograph by KYODO