団体とシングルス両方で金メダルを狙う18歳にとって最大のライバルとなるのが世界最強の中国勢だ。彼らを倒せば、五輪の頂点も見えてくる。果たしてその秘策は、そして自信は――。日本の若きエースが決意を語る。
世界一になりたい――。
これまで世界選手権やワールドカップに出場する度に、その思いが募った。
「グランドファイナル(2018年)の優勝経験がありますけど、まだ大きな大会での世界一はないので、(東京五輪で)獲れたらいいなって思っています」
目前に迫る東京五輪に向けて、張本智和はそう決意を語る。
だが、東京五輪イヤーとなる今年のスタートは、厳しい現実を突きつけられた。
優勝を狙った全日本卓球選手権はベスト8で敗退。前日3試合を戦い、最後の3試合目は4-3というフルゲーム、1時間17分という長丁場になった。ベスト8で負けた後、張本は「負けた悔しさよりも筋肉痛と疲れで今、喜怒哀楽を出せる感じではない」と疲労困憊の体でそう語った。複数試合を戦い、勝ち抜くだけの体力が不足していることを痛感した。張本はその反省を活かしてすぐにフィジカル強化に取り組んだ。
「全日本では体が思うように動かなかったので、まず体からと思って、特に下半身を意識してウエイトトレーニングで筋力をつけるようにしました」
全日本時と最近の体を見比べると臀部が大きく、下肢が締まっているのが分かる。
さらに技術にも磨きをかけた。
「全日本では得意のバックハンドが全然ダメで、相手にやられている部分が多かったんです。誰にも負けないバックハンドを打ちたいと思って練習をしました。具体的には今までは一撃で速いボールは打てたんですが、連続で打つことが少なかったんです。100%の一撃よりも80〜90%の威力でボールを連続して打てるようにしました」
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photograph by Xinhua/AFLO