#1015

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<私が裁いた名勝負>井上選手は荒々しかった。気力が充満していた。

2020/12/01
語り継がれる名勝負をその演者のひとり、審判が振り返る。彼しか知らない新たな景色が見えてくる。

2001年 全日本柔道選手権決勝
井上康生 対 篠原信一
4月29日/日本武道館/井上の判定勝ち(審判:棟田利幸)

無差別で争う全日本選手権の'01年決勝は、4連覇を狙う篠原(左)にシドニー五輪金で勢いづく井上が2年連続3度目の挑戦。序盤から攻撃を仕掛ける挑戦者に対し、守勢に回った王者は技を出せない。終盤の大内刈りなど攻め続けた井上はついに篠原を下し、以後3連覇を果たす。

   ◇

 これは世界で一番強い選手を決める決勝戦なんだ。あの試合の前、私はそう考えていました。

 井上康生選手と篠原信一選手。前年の全日本選手権決勝と同じ顔合わせでしたが、その後2人はシドニー五輪に参加してメダルを獲得して帰ってきました。100kg級で井上選手が金メダル。100kg超級の篠原選手は銀メダル。決勝でフランスのダビド・ドゥイエに決めた内股すかしが見逃され、誤審騒動で話題になった大会です。

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